自転車は車道を走るのが、絶対に安全。歩道を走る自転車は命を失くすために走るようなもの。
一昨日だったか、また一日で読んでしまった本。
もう、とにかく素晴らしい。全国民必読の、いますぐみんなが身につけなければいけない基礎知識読本ですな、これ。

この本の知識を知らないと、死にますよ。
いや、ホント。

●自転車の安全鉄則
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4022732474

なんでもいいから、日本人全員、いますぐ読め! 自転車に乗れない人も、常識と知っておくべきだから、必ず読め! と言わざるを得ない、最重要の名著です。

まず、あなたの子供が自転車に乗るとして、こういう事を言ってないですか?

「あぶないから、車道には出ないでね。歩道を走りなさい。」

とか。


それ、危険ですから。即死の可能性が高まる事を、子供に対して言いつけてるのと同じですから。いますぐ考えを改めてください。

なぜ、そうなるかの解説はちょっと置いといて、先に最も重要な事を言っておくと、日本は世界で一番、

●自転車の交通事故死

が多い国なんですよ。比率として突出して高いんですね。全交通事故数の中で14%、年間で800人ほど亡くなってますし、これが年々増えてきています。

(ちなみに交通事故死自体は年々減っていて、年間で6000人程度。この間紹介した風呂溺が年間1万人くらいで、風呂溺がいかに多いか、ということがわかりますが、それを上回って自殺者が年間1万5000~1万8000人いてるという事は、頭に入れておいてもいいです。)

で、おそらく、この800人のうち、少なくとも半分は交通法規などをキチンと遵守して自転車が歩道を走らずに、車道を走っていれば起こらなかった事故だろう、と言うことを、この本ではこんせつていねいに、図解も入れて解説してくれてます。

とにかく、世の子供を持つ日本のお母さん! 「車道はあぶないから歩道を走りなさい」という考え方自体が、大きな間違いなのだ、ということを正しく自覚してください。

なぜ、自転車で歩道を走ると危ないかというと、歩道を走ると「車は左側通行」という、もっとも重要で、何より優先しなければならない基本ルールを学べなくなるからです。

考えてみましょう。

あなたは自転車で歩道を走っています。
左手に車道があります。
さて、これは左側通行ですか? 右側通行ですか?

歩道の左端を走ってるから左側通行? いいえ、違います。これは右側通行なんですよ。
左手に車道がある、ということは、その車道を走っている自動車は自分に向かって走ってくる自動車です。仮に、その自動車が歩道に突っ込んできたとしたら、自転車と自動車の正面衝突になる位置関係なわけです。

まず、こういう位置関係で走るという状態自体が、とんでもなく危険なのだ、ということを正しく認識しないとダメです。

自転車の時速は、安いママチャリでも、まぁ時速12キロ~18キロは出てます。自動車が60キロだとすると、その両方の衝撃が加算(実際には乗算だから、もっと巨大なパワーの差なんですが、ここでは簡単にしときます)されます。

しかし、これが「右手に車道がある方向」で走っていたらどうなるか?というと、正面衝突ではなく「追突事故」になります。この場合は60キロ-18キロだったとして、うんと少ない力のかかり方になるわけです。

ですから、「追突なら助かる事はあっても、正面衝突では助からない」ということになるわけです。

歩道を走ると、行きも帰りも同じ歩道を走る、なんてことを普通にしますから、行きは追突方向だけども、帰りは正面衝突方向、なんてことが普通になってしまうわけです。

自転車というのは慣性で走ってますから、走り出したら止らないという側面があります。歩いている時のように、さっと90度方向転換して逃げる、なんて事ができません。だから、歩道を自転車で走っていて、もしどこかで自動車と正面衝突したら、間違いなくよけきれずに死ぬ、と考えてください。

で、こういう事を言うと「歩道は車道と区切られているから安心だ、そんな、歩道を越えて車が突っ込んでくることなんかないよ。」と反論する人もいてるでしょう。

しかし、ポイントは「歩道に車が突っ込んでくる」事ではないのです。一番可能性が高いのは、「自転車が車道に突っ込んでいく」という状況なのです。そして、それは、毎日のように起きてるんです。

いまさっきのイメージトレーニングを、もう少し続けましょう。
あなたは自転車で歩道を走っています。
左手に車道があります。

交差点が近づいてきました。信号のない交差点です。車の通行も少ない道なので、そのまま渡りました。

これ、まさに「右側通行のまま、自転車という車両が、車道にいきなり突っ込んでいった状態」そのものなんですね。

この場合で言うと、右手方向からやってくる車には、あなたの自転車の姿は見えません。だから、車の側からすると、「見えないところから、いきない自転車が飛び出してきた」という事にしかならないわけです。

ちょっと、車の側の立場になって、これをシミュレートすると、車は左右の車道から車両がやってこないかを注視して慎重に車を進めます。スピードを落として、60キロだったものを50キロ、40キロに落とします。でも左右の「車道内の」車両は少ない。だから、本来一旦停止しないといけないのに、「まぁせいぜい30キロくらいだからいいか、歩行者が来てもブレーキを踏めば止まれるし」と、気がゆるんでそのまま交差点に入ります。

そこに時速18キロの自転車が突っ込んでくる。歩行者を想定してしかスピードを落としてなかったので、30キロ、ぶつかる。時速差48キロだと、止ってる人間に50キロで車がぶつかったのと同じ損傷になります。まぁ死にますわね。

これが、おそらく、いま日本で起きている「自動車と自転車の衝突による死亡事故」のいちばんリアルな現実だろうと思います。

これね、勘違いしたらアカンのですが、

●自転車が、歩道を走らずに、車道を走っていれば、起こらなかった事故

なんですよ。
こういう事故は、必ず「自動車の一旦停止義務違反」と言うことで、車が悪い、というように処理されるだろうし、みんなそこで思考停止になってるんでしょうが、ちょっと待て!!!!と言わねばならんわけです。

●そもそも、歩道を自転車が走ってしまう事が問題

なんですよ。

人間の徒歩の速度は時速4キロから5キロです。自転車は15キロとしたら三倍。20キロ近くスピードを上げられますから、20キロなら4倍ものスピードで走っているわけです。
そういう速度差のある「移動物」を、同じ歩行者扱いしていたら、そりゃ車の側も予測できませんって。

車道を走っている車というのは、自転車以外は全部免許が必要なんですね。だから、そういう「予測」に関しても授業で習う。
でも、残念ながら、歩道を右側通行してくる自転車の予測までは習わないんですよ。そんな事は道路交通法上、本来認められていないんですから。

道路交通法上で言えば、自転車は車道を走るのが標準です。歩道は「指定された歩道」のみ走っても良い、あるいは、身の危険を感じたときに避難のために走るというくらいしか、本来は認められていないんです。

ですから、そういうルールが、キチンと守られている車道の中では、自転車で走っていても安心感があります。
なんせ、みんないちおう免許を取るために勉強して、そのルールを守って走ってるわけですから。車道には「ルールに則った安全」というものがキチンとあるんですよ。

交通法規上で言うなら、自転車は車道の左端を走る、ということになってますから、左側通行を自転車が守っていれば、自転車が交差点の左側から運転手の目に飛び込んでくるのは、道路を渡りきった、向こう側の端、に決まっているわけですよ。
自転車が、車道をキチンと走っていれば、あの危険がもっとも大きい交差点での「出会い頭にぶつかる危険」は、格段に少ないわけです。

わかりますか?この理屈。

だから、歩道を自転車が走る、なんていうのは、もっての他なんです。危なくて仕方ない。危険極まりない。即刻、いますぐ、何があろうとやめるべきなんですよ。

何が問題かと言えば、結局は「結果として右側通行をしているのに、それに気付いていない」と言うことが、もっとも危険な事なわけです。

まぁ、これは、この本に書かれている内容からすると、ほんの一部にしか過ぎないんですが、それでも、優先的に、まず考えなければならない問題ですので、あえてしっかりと書きました。(ちなみに、この本の中身より詳しく、「自転車に乗っていない人にもわかるように」書きました。わかってない人は、このくらい書かないとわからんやろなぁと思ったんで。)

とにかく自転車が歩道を走ることは、とんでもなく危険なんです。そこは正しく理解しましょう。とくに「右側通行」のクセがつくのが、大変まずいです。車道の左端を走る。これを日々徹底しないと、この感覚は身に付かないと思います。左側通行は、かなり重要な絶対ルールなんですよ。そこを身体感覚に落とし込んでおかないと、本当に危険です。死にます。

あと、車道に出ていれば、他の車から注視されるから安全、というのもかなり大きいのです。後ろから来ている車は、自転車の存在を意識してます。だから安全なんです。

しかし、車に乗っている人は、実は歩道を走っている自転車にまでは、気が回っていないんです。ましてや車道と歩道の間に看板があったり、信号機や樹木があったりして、歩道の状況が目隠しされていると、左折しようとした時に自転車に気付けないというのがあって、そういう意味でも、歩道を自転車が走るというのは、たとえ歩道内で左側通行をしていても危険なんです。

だから、とにかく車道を左側通行。それが自転車に乗るときの安全策として、最優先なわけです。

この本には、こういう話だけではなく、世界の自転車先進国が、都市部から車を追いだして、自転車と公共交通機関(バスや路面バスなど)を充実させて、そのことにより、

●車削減による省エネの達成
●市民の健康回復による医療費の削減
●都市交通の効率化達成(都市内の移動効率は自転車がベストです。)
●渋滞の解消による経済活動の好転
●車が減ったことによる安心感からの中心街の活性化
●それらの総合効果による経済発展

といういくつもの、たくさんの果実が得られているのだ、という話が書かれています。

もうね、ようは「モータリゼーション」は時代遅れ、ということなんですよ。
車は都市内部の交通機関としては不向き。あくまで「都市間交通」にこそ使うように限定していかないといけない。

で、都市部においては、自転車こそが、もっとも最適、効率的な移動手段で、そこを重視して都市計画を考えない限り、これからの都市として生き残ることすら難しだろう、ということになってきているようです。

そんな事までひっくるめて、とにかくとても面白い本です。超おすすめ。みなさん、こぞってお読みください。目から鱗がポロポロこぼれ落ちまくりますよ。いやほんと。




お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索