不機嫌なのは幼稚である。
2008年2月6日 読書
ISBN:4860811801 単行本 和田 秀樹 新講社 2007/11 ¥900
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4860811801/249-9767057-8485143
この数ヶ月、読んだ本の一覧を書いてますが、一冊一冊を取り上げて、というのが少なかったので、ちょっとまとめがてらやってみたいです。
著者の和田秀樹さんは精神科医ですが、最近はけっこうたくさんの本を書いておられます。1960年生まれで、私と同学年。
年が近いと気になる問題も同じだなぁと感じます。
この人の本では、前に
人は感情から老化する
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396110529/glfclb-22/ref=nosim
を読んだのですが、ようは40過ぎあたりから、感情の老化が始まりまして、つい怒りっぽくなったりするから気をつけよ、という内容だったのですね。
これは欧米で言うところのミッドライフクライシスというものに近い。
あと、前にここの日記で紹介した
http://diarynote.jp/d/12917/20051112173817
●40歳の意味
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4804716300/249-9767057-8485143
って本にも通じるのだけれど、30代の終わりから、40代にかけてというのは、感情の老化がはじまっていて、怒りっぽくなったり、あるいは逆に「今しかない!」とあわてて、無茶をしたりしがちなのです。
そういう「危機」に対して敏感な年齢だ、って事なんだと思います。
和田秀樹さんの場合は、精神医学の現場からアプローチしているのですが、なにより現場での体験をベースにしているので、現実的かつ、取り入れやすい提案が多いので、良い本だと思います。
この本で書かれている事を一言で言うなら、
●不機嫌は幼稚だ
ってことでしょう。これはしっかり心に刻まないといけないなぁって思うのです。不機嫌は幼稚だ。
なんで幼稚なのかと言えば、それは自分の要望を明確にして、実現していないという事の証明だからです。
たいていの不機嫌人間は、自分の不機嫌の理由がいまいちわかってないって事が多いわけですね。
で、なんでそれがわからないかというと、自分の要望が何なのかがわかってないからなんです。
で、なんで自分の要望がわかってないのかというと、自分の感情を素直に表現せずにガマンしたり押さえ込んだりとひねくり回してるからなのですね。うまく上手に自己表現が出来ていれば、不機嫌にはならない、というかなりにくいのだそうです。
でも、悪感情(怒り・不満・不機嫌)から抜け出せない人は、そういう自分の「わかっていない部分」をわかろうとしません。相手が悪いと考えてしまうのです。
でも本当は違うのですね。自分の不満を明確に自覚して、その不満を解決する方法を編み出して、それを実際にやってみてチャレンジする過程、みたいな事を日々やってないから相手にその「問題」すら伝わらず、それで物事が解決しなくて不機嫌だ、という事が多いわけです。
相手に非があるとする限り、これは解決不能ですわね。解決不能なものはずっと問題なままだから、そりゃおもしろくないです。
この問題解決に対して、和田秀樹さんは、まず「自分の性格を認めなさい」というところから説き起こします。和田さん自身、短気で、相手のスローモーな対応にイライラしがちなんだそうです。
この「自分が短気である」という自分の個性を、自分の個性としてキチンと認識せず、「私が普通だ、標準だ」と思うから、相手がスローって事になってしまうわけですね。
だから、自分が短気であるって事をちゃんと認めないといけない。
回りの人間がバカに見える事が良くあるんだけど、それは自分が賢いからいけないのであって、相手が悪いんじゃないって事ですな。わははははは。いや、実際そうなのよ。そういう事なんだもん、しょうがないよ、それは。
頭のいい人、要領のいい人は、そこのところを気をつけないと、感情生活が貧しくなってしまうので気をつけましょう。
(でも、これも本当はウソであって、人間にそれほど違いっていうのは少ない。実は解決された問題というのは、ものすごく多様な要素がからまりあって解決されていて、その細かな要素をひとつひとつきちんとふり返って整理していないから、それを自分で自覚できず、相手に伝えられなくてノウハウの共有ができなくなってる、というのが本当のところなのです。自分が得たノウハウをキチンと整理してないのが、本当はいけないのですが、まぁこれは「感情の整理」とはまた別の話なので、またそのうち。)
自分の性格を認めるというのは、自分の感情に気付く、と言うことでもありまして、それは不機嫌な人は自分の感情に疎いのだ、という事でもあります。
たとえば、この本で出ている例でいうと日曜日の繁華街での親子連れで、不機嫌そうにしているお父さん、というのがあります。
「本当は家でやすみたいのに」という自分の感情を押し殺して、無理して家族サービスしてるわけですね。ここに不機嫌の源泉がある。休みたいんなら休めばいいのだ、と和田先生はおっしゃる。で、「家でカレーを作って待ってるよ」とかの自分の出来る、ラクな対応を考えれば良いのだとおっしゃるわけです。
でも、ここで「相手に嫌われたくない」と相手優先をやるから、そこから自分の不満が始まるわけですね。で、「こんなに無理してるのに、それを察してもくれない!」と相手の非難が始まってしまうわけです。
いや、だから、休みたいなら、やっぱり休まないとダメだよ、それは。そうしないと解決しないよ。それが自分の望みなんだから! って事ですね。
ここをごまかすと、おかしな事になるわけです。要は。
身を引く大人であるよりも我を通す子供になって、で、それでさっさと謝る。「すまんすまん。わがまま言うて。」と。
こういう事を和田秀樹さんは言ってるのですが、面白かったのは「精神科医もカウンセリングを受けているのですよ」という話でした。
つまり、体重計が正確かどうかを確かめるために、ハカリに正確な重りを載せて「ハカリを測る」という事をするように、精神科医も心のチェックを受けているのですよ、という話なのです。
で、それで何が言いたいのかというと、
●ものの見方のゆがみや、心の反応パターンは自分でもなかなか気付かない
という事なわけですね。
で、この「自分のゆがみに気付けない」というところから、いかに抜け出すか、という方法や考え方がいろいろ書かれてるんですが、僕的に「なるほどなぁ、そうだなぁ」と思えたところだけをいくつか抜き書きすると、
●自ら積極的に人に関わり、人との関係の中から自分の「レベル」をチェックする。(良いにつけ悪いにつけ)
●「あるべき自分」にフォーカスを当てるのではなく、「ありのままの自分」にフォーカスを当てて、まずありのままの自分をほめる。認める。そして背伸びをしない。(当然欠点も直視しなくてはなりませんが、そうしないと良い点も発見できません。)
●EQ(心・感情の知能指数)は放っておくと年と共に衰えるので、感情の活性化策は、どうしても必要だ、という事。不機嫌ではなく上機嫌を「ワザ」として磨かないといけないゾ、と言うこと。
●すべての人間を好きになろう!という話。それもみんなを大好きになる必要などサラサラなくて、関係に応じて、少しだけ好きになれば、それで良いってこと。
●より良い人間関係のためには、ほど良い距離感が必要、ということ。
となります。
特に心に沁みたのは、「ほどほどの距離感」の話でしたなぁ。相手を好きだと思っていられる程度に、距離感を持っておかないと、どうしても「気付いてくれない」式の不満が出てしまうもんなぁ。
そういう事なんだよなぁと思いました。
とにかく上機嫌で行こう! 上機嫌で!
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4860811801/249-9767057-8485143
この数ヶ月、読んだ本の一覧を書いてますが、一冊一冊を取り上げて、というのが少なかったので、ちょっとまとめがてらやってみたいです。
著者の和田秀樹さんは精神科医ですが、最近はけっこうたくさんの本を書いておられます。1960年生まれで、私と同学年。
年が近いと気になる問題も同じだなぁと感じます。
この人の本では、前に
人は感情から老化する
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396110529/glfclb-22/ref=nosim
を読んだのですが、ようは40過ぎあたりから、感情の老化が始まりまして、つい怒りっぽくなったりするから気をつけよ、という内容だったのですね。
これは欧米で言うところのミッドライフクライシスというものに近い。
あと、前にここの日記で紹介した
http://diarynote.jp/d/12917/20051112173817
●40歳の意味
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4804716300/249-9767057-8485143
って本にも通じるのだけれど、30代の終わりから、40代にかけてというのは、感情の老化がはじまっていて、怒りっぽくなったり、あるいは逆に「今しかない!」とあわてて、無茶をしたりしがちなのです。
そういう「危機」に対して敏感な年齢だ、って事なんだと思います。
和田秀樹さんの場合は、精神医学の現場からアプローチしているのですが、なにより現場での体験をベースにしているので、現実的かつ、取り入れやすい提案が多いので、良い本だと思います。
この本で書かれている事を一言で言うなら、
●不機嫌は幼稚だ
ってことでしょう。これはしっかり心に刻まないといけないなぁって思うのです。不機嫌は幼稚だ。
なんで幼稚なのかと言えば、それは自分の要望を明確にして、実現していないという事の証明だからです。
たいていの不機嫌人間は、自分の不機嫌の理由がいまいちわかってないって事が多いわけですね。
で、なんでそれがわからないかというと、自分の要望が何なのかがわかってないからなんです。
で、なんで自分の要望がわかってないのかというと、自分の感情を素直に表現せずにガマンしたり押さえ込んだりとひねくり回してるからなのですね。うまく上手に自己表現が出来ていれば、不機嫌にはならない、というかなりにくいのだそうです。
でも、悪感情(怒り・不満・不機嫌)から抜け出せない人は、そういう自分の「わかっていない部分」をわかろうとしません。相手が悪いと考えてしまうのです。
でも本当は違うのですね。自分の不満を明確に自覚して、その不満を解決する方法を編み出して、それを実際にやってみてチャレンジする過程、みたいな事を日々やってないから相手にその「問題」すら伝わらず、それで物事が解決しなくて不機嫌だ、という事が多いわけです。
相手に非があるとする限り、これは解決不能ですわね。解決不能なものはずっと問題なままだから、そりゃおもしろくないです。
この問題解決に対して、和田秀樹さんは、まず「自分の性格を認めなさい」というところから説き起こします。和田さん自身、短気で、相手のスローモーな対応にイライラしがちなんだそうです。
この「自分が短気である」という自分の個性を、自分の個性としてキチンと認識せず、「私が普通だ、標準だ」と思うから、相手がスローって事になってしまうわけですね。
だから、自分が短気であるって事をちゃんと認めないといけない。
回りの人間がバカに見える事が良くあるんだけど、それは自分が賢いからいけないのであって、相手が悪いんじゃないって事ですな。わははははは。いや、実際そうなのよ。そういう事なんだもん、しょうがないよ、それは。
頭のいい人、要領のいい人は、そこのところを気をつけないと、感情生活が貧しくなってしまうので気をつけましょう。
(でも、これも本当はウソであって、人間にそれほど違いっていうのは少ない。実は解決された問題というのは、ものすごく多様な要素がからまりあって解決されていて、その細かな要素をひとつひとつきちんとふり返って整理していないから、それを自分で自覚できず、相手に伝えられなくてノウハウの共有ができなくなってる、というのが本当のところなのです。自分が得たノウハウをキチンと整理してないのが、本当はいけないのですが、まぁこれは「感情の整理」とはまた別の話なので、またそのうち。)
自分の性格を認めるというのは、自分の感情に気付く、と言うことでもありまして、それは不機嫌な人は自分の感情に疎いのだ、という事でもあります。
たとえば、この本で出ている例でいうと日曜日の繁華街での親子連れで、不機嫌そうにしているお父さん、というのがあります。
「本当は家でやすみたいのに」という自分の感情を押し殺して、無理して家族サービスしてるわけですね。ここに不機嫌の源泉がある。休みたいんなら休めばいいのだ、と和田先生はおっしゃる。で、「家でカレーを作って待ってるよ」とかの自分の出来る、ラクな対応を考えれば良いのだとおっしゃるわけです。
でも、ここで「相手に嫌われたくない」と相手優先をやるから、そこから自分の不満が始まるわけですね。で、「こんなに無理してるのに、それを察してもくれない!」と相手の非難が始まってしまうわけです。
いや、だから、休みたいなら、やっぱり休まないとダメだよ、それは。そうしないと解決しないよ。それが自分の望みなんだから! って事ですね。
ここをごまかすと、おかしな事になるわけです。要は。
身を引く大人であるよりも我を通す子供になって、で、それでさっさと謝る。「すまんすまん。わがまま言うて。」と。
こういう事を和田秀樹さんは言ってるのですが、面白かったのは「精神科医もカウンセリングを受けているのですよ」という話でした。
つまり、体重計が正確かどうかを確かめるために、ハカリに正確な重りを載せて「ハカリを測る」という事をするように、精神科医も心のチェックを受けているのですよ、という話なのです。
で、それで何が言いたいのかというと、
●ものの見方のゆがみや、心の反応パターンは自分でもなかなか気付かない
という事なわけですね。
で、この「自分のゆがみに気付けない」というところから、いかに抜け出すか、という方法や考え方がいろいろ書かれてるんですが、僕的に「なるほどなぁ、そうだなぁ」と思えたところだけをいくつか抜き書きすると、
●自ら積極的に人に関わり、人との関係の中から自分の「レベル」をチェックする。(良いにつけ悪いにつけ)
●「あるべき自分」にフォーカスを当てるのではなく、「ありのままの自分」にフォーカスを当てて、まずありのままの自分をほめる。認める。そして背伸びをしない。(当然欠点も直視しなくてはなりませんが、そうしないと良い点も発見できません。)
●EQ(心・感情の知能指数)は放っておくと年と共に衰えるので、感情の活性化策は、どうしても必要だ、という事。不機嫌ではなく上機嫌を「ワザ」として磨かないといけないゾ、と言うこと。
●すべての人間を好きになろう!という話。それもみんなを大好きになる必要などサラサラなくて、関係に応じて、少しだけ好きになれば、それで良いってこと。
●より良い人間関係のためには、ほど良い距離感が必要、ということ。
となります。
特に心に沁みたのは、「ほどほどの距離感」の話でしたなぁ。相手を好きだと思っていられる程度に、距離感を持っておかないと、どうしても「気付いてくれない」式の不満が出てしまうもんなぁ。
そういう事なんだよなぁと思いました。
とにかく上機嫌で行こう! 上機嫌で!