Ron Paul 2008
数日前から、ロン・ポールという人を紹介したくてたまらなかったのです。

このロンポールという人は、来年の大統領選挙に立候補している独立系の候補者です。まぁ正直、二大政党制で、所属する共和党が、この人を候補に立てるとは考えられないので、大統領になることはまずありませんから、事実上「泡沫候補」としか言えない、という事になります。

が、しかし、いまアメリカでは、この泡沫候補でしかないロン・ポールの人気がインターネットを中心に、若い人の間でものすごく高まっているらしいのです。

まずは動画を見てください。日本語字幕もついてますから、何を言ってるのかくらいはわかるはずですので。

Ron Paul
http://video.google.com/videoplay?docid=1094521977173934414&;hl=en

さて、なんていうんでしょうか。僕もね、この動画を見てるだけで、熱くて立派な人柄がイヤでも感じられてしまって、もう何回くらい見たかなぁ。たぶん10回に近いくらい見てしまってます。この数日で。

僕的にはどういう意図で何を言ってるのかもわかるので、ウルウルしてしまうくらいに感動してしまうんですが、解説がないと、ちょっとわかりにくい所もあるので、解説をしておきますと、ここで紹介されている動画は共和党の中の候補者同士のテレビ演説会での動画でして、その中のロン・ポールのところだけをまとめたものなのです。

共和党というのは、いちおうアメリカの保守政党であり、企業やお金持ちの味方で、単純に言えば民主党が貧乏人の味方、共和党はブッシュを応援していてイラク戦争を推進してる党でもあります。

そういう党の中にあって、イラク戦争は即刻やめるべきだと言い、低所得者層の貧困を問題視して発言しているロン・ポールはパッと見は「みんなの中で一人だけおかしな事を言う変な人」と見られがちなんですね。

実際その共和党のテレビ演説会でも、会場は共和党支持者ばっかりだからブーイングや嘲笑という反応が多いわけです。
でも、そこで気落ちせずに堂々と自説を語る。そこが良いんであります。

で、実際、このテレビ討論会では、最後に視聴者からの投票を受け付けるコーナーがあって、そこで他の候補を圧倒して二番人気についてしまったらしいのですね。

さぁ、ここからです。

いままでだったら、「へぇ、おもしろい人がいるね」というだけで終わってしまうんでしょうけど、いまの時代、インターネットがあります。そこには、ロン・ポールが何年もずーっと語ってきた事のビデオとかが、普通に蓄積されてるわけですよ。YoutubeとかGoogle動画とか。

そういうものを見ると、このロン・ポールというおっさんが、言ってることが十何年、二十年以上、何も変っていない、ブレのない、一本スジの通った主張だ、という事が嫌でも分ってきてしまったわけなんですね。

それで一気に人気に火がついたというところがあるんです。

政治家というのは、とくに重要な職に就けば就くほど、嫌らしい横槍や妨害が入ってしまって、思ってることとは逆の事を言わざるを得なくなったりしますし、
(今回の小沢一郎の辞任騒ぎも、そういう部分がかなり大きいだろうと想像できます。アメリカの給油推進派のなんらかの工作にまきこまれて「死んだふり」するしかなくなったんじゃないかと。)
そういうゴタゴタにまきこまれていない傍流の人だからこそ、スジが通っているという側面はあるものの、それでもやっぱり、スジが通っているというのは分りやすいし、納得もできるわけです。

実際、このロン・ポールというおっさんは、共和党の中でももっとも古くからあるリバータリアンの系列に属する人なんですね。アメリカ合衆国、建国の時の理想を忘れるな、という立場の人で、実はイラク戦争を推進させているネオ・コン、ネオ・コンサバティブというのは、もともと民主党にいて、社会主義的理想国家を作ることを夢見ていた連中が共和党に鞍替えしてワーワーやっているという現実があるわけです。ロン・ポールから見れば、いまの共和党の方向なんて、党を作った時の方向性とは全然違うおかしな意見にしか見えないわけです。

共和党の中でもいろいろな考え方の人がいてるわけですが、このロン・ポールが属するリバータリアンというのは、もともと、

●政府は小さければ小さい方が良い

という「小さな政府」を掲げている考え方の派閥(?)で、アメリカ建国の精神に則り、国民が自活的に生きることこそ重要で、個人の自由に対して国や政府がごちゃごちゃ言うな、という考え方を持っている一派なんですね。

政府が小さい方が良いという考え方ですから、いまのアメリカの「世界の警察」路線には大反対。「なぜ、よその国のもめ事で、我らアメリカの若者が血を流し、命を失わなければならないのか。」と考える考え方です。アイソレーショナリズム、孤立主義とか訳されたりしますが、他国に不干渉で行くという考え方なんですね。「同盟は結ばず通商によって国交を保つ」という考え方です。

政府が小さいほうが良いと考えているから、実は福祉も反対なんです。口でかっこの良い事を言うだけじゃない。「税金を減らせと言ってるのだから、福祉を充実しろとは言えない。そこは自分でやるから、とにかく税金を減らせ。」という考え方です。福祉的な部分も国にやってもらうんではなくて、自分たちでどうにかすりゃいいじゃないか、という考え方です。

で、ここからが日本人にはちょっとわかりにくいんでしょうけど、まず海外派兵に反対なので、銃規制に反対なんです。わかりますか?これ。たぶん、先の動画を見てても、このあたりがスキっとは理解しにくかったと思うんですが、これはつまりこういうことです。

「自分の国は自分で守る。よその国の人間が攻め込んできたら、俺の家は俺が銃で守るから、海外派兵はいらない。」って事なんですよ。だから銃規制をするという事は自分で自分を守る手段の放棄であり、それは際限のない海外派兵の拡大を意味するという事なわけです。

かの有名な俳優にして映画監督でもある、クリント・イーストウッドもガチガチのリバータリアンでして、だから銃規制に反対するし、終末治療のチューブを引っこ抜く映画を作るわけです。

欧米は日本のように「派閥」という仲良しグループではなく、このような「考え方」、政治信条でグループを組みますから、そういう意味ではわかりやすいのですな。同じ政治グループにいる人は、同じ考え方で、同じ事を言っている。

とくにこのリバータリアンは建国の自主独立の精神を忘れるな!という一派ですから、その首尾一貫性は見上げたものがあるわけです。

それが、このインターネットの動画時代とピタ!と一致したんですね。「なんやこのオッサン、昔からずっと同じ事言うとるやんけ。たいしたもんやな!」と人気が出てきたわけです。「がんばれ!ロン・ポール」という声が、いまや相当に大きくなってきてるらしいんです。

動画で納得したあと、日本で言うミクシイ、アメリカならマイ・スペースでしょうけど、そういうSNSで、口コミの形で「ロン・ポールはすごい」という噂が広がったわけです。

この間もロン・ポールを応援している人たちの間で「寄付を1日に集中させて、ひとつのムーブメントにしようぜ」という動きがあったらしいのですが、それで一日で4億円くらい集まっちゃったらしいんですね。なんかすごいよなぁって思う。

といってもまぁ、アメリカの大統領選挙なんて、何百億というお金をかけてメディアを動かすお祭り選挙ですから、ロン・ポールが大統領になるなんて事はないんでしょうけども、ここまで来たら、こういう「小さな政府要望」について、他の候補も議題にしないわけには行かなくなりますから、無駄な動きというわけでもないでしょう。

そういう意味で、このロン・ポールというおっさんはすごく面白いですね。

書きたい事は、まだ他にもあるんですが、それはまたという事にして、とりあえず、今日はここまで。

あ、ちなみにタイトルの Ron Paul 2008 というのは、ロン・ポールの公式サイトにおける大統領選挙のスローガンですね。言ってる事が首尾一貫してるから、「言ってることはいつもと一緒だよ。2008年は大統領選挙でそれを言うのさ。」という感じがあって、僕的には気持ちよくて好きなスローガンです。はい。

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