衆議院選挙スペシャル(3):もう一度「それでもボクはやってない」を分析する。(2)
さて、昨日書いた、

映画「それでもボクはやってない」
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/B000QJLROI

を選挙前にもう一度精査して、よく考えるためのお話の続き。

前回リストアップした、

●痴漢犯を無理矢理増産して検挙率の水増しをしている。
●痴漢犯を捕まえる能力自体が欠損している。
●痴漢事件を予防する責任を果たしていない。
●「私人による逮捕」の仕組みを政治的に悪用している疑いがある。

の4点について大急ぎで書いていきます。

映画の内容のバラシにもなるので、以下ネタバレ。

---------(以下ネタバレ。)-------------

さて、警察に送還された主人公(加瀬亮)は、警察の人間から、「やってないだと?罪を認めないのなら家に帰すわけにはいかない。ずっといてもらうからな。」と言われます。
で、これがウソではなくて本当なのは、昨日書いたとおり。ずっと半年とか拘留されることになるんですが、主人公は基本的に、そこまでの事はわかっていないので、やってないと主張するわけです。

すると、驚くべき事を、この刑事が言います。「罪を認めたら、帰ってもいいんだよ。痴漢なんて微罪だ。認めたところで、書類がちょっと残るだけで普段の生活には何の影響もない。さっさと認めて帰ったらどうだ。」と。

なんだ?これは?

思いませんか?
取り調べでもなんでもなくて、これは「自白の強要」なんですね。

こういう事を警察はやっている。
こういうのを、「人質司法」と言うのだそうです。

人質司法
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E8%B3%AA%E5%8F%B8%E6%B3%95


「自白は証拠の女王」と言われていて、刑事事件では、非常に有利な証拠とされてるわけです。だから、容疑者が犯行を認めていない場合、警察に拘留して、家に帰らせず、「帰りたいなら自白せよ」とやるわけです。

これね、仮に痴漢犯に間違われた40代の妻も子供も仕事の責任もあるおじさんなら、「微罪というなら、どうでもいいや」と思って「ハイハイ、やりましたよ。そういう事にしときますわ。仕事ありますねん、こんな事につきあってられますかいな。」と言って罪を認めてしまったりするわけですよ。やってなくても。

世間で、「日本の警察は優秀」とかいうような風評が立ってますけど、それはこういう書面だけの検挙率の水増し行為があって、それをカウントしてるだけの話なわけですよ。

これが、

●痴漢犯を無理矢理増産して検挙率の水増しをしている。

という話なわけです。
どこが「日本の警察は世界一優秀」やねん! 「世界一最低」の間違いやろが! 検挙率とかの数字だけいじくりやがって。この薄汚れた官僚どもが。

仮に、自分の身を人質に取られて、一週間でも拘束されたら、働き盛りの人間だったらたまらない!って事になりますからね。得意先にも家族にも大迷惑をかける。
だから、こういう「痴漢なんて微罪、書類だけの事」と言われて「前科者」にさせられた無実の罪の人が、いったいどれだけたくさんいてるのかと思うと、ぞっとするのです。

これが、いままさに、我々の目の前にいてる、警察という組織の実態なわけですよ。
本当にとんでもない話です。

世の中で、普通に仕事をしているお父さんたちの中に、たくさんたくさん「痴漢の前歴のある人」が量産されてるわけです。
だから、本当に「痴漢冤罪事件」の社会派ドラマを作りたかったら、そういうお父さん達の話をいくつも描かないといけないんですが、周防監督は、警察もさることながら、司法のひどさ、裁判のひどさを描きたかったので、主人公に「いや、ボクはやってないです。」と言ってもらう必要があったわけですね。
ここで主人公が、いやいやながらでも「やりました」と言ってしまったら裁判の話にまで到達させるのが大変ですから。周防監督は、裁判の実態こそを描きたかったそうですから。

だから、主人公は家族も仕事も持っていない、26歳のフリーターという設定になっているんです。守るべきものは、自分の身の潔白だけです。そうでなくても仕事がないのに、これで痴漢犯という前科までついたのでは就職したくてもできない。だから、やってないものはやってないと主張するのです。

で、そうなると、そのまま拘留される、ということになるんですよ。まったくひどい話です。キチンとした事実関係を取り調べるとか、そういう事をするのではありません。要するに警察は「自白」が欲しいだけで、本来自分たちがやらねばならない、事実や真実を追究するための


●「捜査」自体をやっていない。


んですよ。
なんですか? これは。

事実関係を調べるとか、証拠を探し出すとか、そういう事は一切やらない。ひたすら「自白」を取ることしか考えてないわけです。
まさに、


●痴漢犯を捕まえる能力自体が欠損している。


という事ですね。
「自白取り」しか考えていないから、事実関係を洗い、きちんと真実にたどりつく、という本来警察に期待される仕事をしていない。つまり、


●給料泥棒


ということです。はっきり言えば、


●警察が泥棒だ。


ということです。
本当にひどい。

ここで、ちょっと映画のストーリーを離れて、僕個人の体験談を話させてください。

実は、僕がいつも一緒に仕事をしている5歳上のデザイナーさんと、それから、定期的に仕事をいただいている印刷会社の社長さんの二人が、あやうく痴漢に間違われかけたという体験をされてるんですね。

デザイナーさんとは年収の半分を支えているA社さんの仕事をしていて、もうひとりの印刷会社の社長さんは、その他さまざまな仕事の発注をいただいていて、これまた年収の半分を支えてもらってるわけです。

つまり、この二人が痴漢えん罪でつかまってしまったら、僕の収入は完全に干上がってしまっていた、ということです。

だから、とてもじゃないけど、この「痴漢えん罪」という話は、他人事ではないんです。

実際にはデザイナーさんは、隣にいた真犯人に気づいて「おい、こらおまえやろ」と問いつめることができたので助かりましたし、社長さんの方は冬場でコートのポケットにずっと手を入れていて、それをとなりにいたおばさんが見ていて「この人は違うわよ」と言ってくれたので助かった、というお話でした。本当に紙一重だったわけです。

が、この二つの出来事で、僕にははっきりわかったことがあるんです。それは、


●本物の痴漢は、罪を他人になすりつける。


という事なんです。
このふたりともに、被害者女性の「勘違い」で「やったでしょ!」と言われているんです。で、デザイナーさんの体験をここで書くと被害を受けた女性が泣き出したらしいんですが、そのときに、デザイナーさんのお腹のあたりを、すっと動く手のようなものを感じたんだそうです。
その被害女性は彼氏と一緒にいたらしく、デザイナーさんは何か恋愛話のもつれかな?とも思ったらしいのですが、その雰囲気と手の動きが妙に感じて隣の男も意識してバス(この事件は電車ではなくバスが舞台でした。)を降りたら、その女性の連れの男性から「あなた痴漢をしたんですか」と言われたらしいんですね。
それで、「あ、じゃあこいつだ!」とすぐさまその犯人を取り押さえたということなんです。

つまり

●間にひとり男性を盾にした上で痴漢を働いていた。

ということなんですよ。

これが痴漢の手口なんです。
だから、痴漢被害にあって、気が動転している女性に、そんな離れた場所から触られているなんてことがわかるわけがないんですよ。
その、「わかるわけがない」ということまで計算に入れた上で、本物の痴漢は痴漢を働いているっていうことです。

おそらく、「本物の痴漢」は、こういう隠れ蓑手法を使って、バレもせずに、次から次へと痴漢を働いているに違いないのです。
警察がキチンと「捜査」もしないから、こういう「犯罪者の手口」自体が明らかになっていないんです。あきらかに

●警察の無能

が原因で、「本物の痴漢」はみすみす取り逃がされているということです。
で、犯人の「盾」にされた男性が、駅で「私人による逮捕」をされ、「人質司法」によって無実の罪を受け入れさせられ、その結果、女性の敵である痴漢はのうのうと痴漢行為を繰り返しているということなんですよ。

「パンツ泥棒」が捕まった時に、ものすごい数のパンツが画面に出ることがありますが、性犯罪というものは、あのように「人の目を盗んで執拗に繰り返される」ものですから、おそらく痴漢犯も、

●朝の混雑に5人を触り、夜の混雑に5人を触る。

というような事をやっているに違いないのです。一日に10人くらいを、ひとりの痴漢犯が触ってるだろうと僕は想像してます。
これが365日だと3600人にもおよぶ被害者です。

よく、痴漢の被害者と捕まった犯人の数があわない、もっとたくさんの犯人がいるはずだ!と女性の側から意見が出るのですが、男の側からすれば、社会的地位を失いかねない痴漢行為など、そんなにたくさんの男がやっているとは思えないんですよ。

だから、こういう特殊な人間がとんでもない数の犯罪を犯しているんだろうと僕は思うわけです。

ということは、です。

こういう本物の痴漢をキチンと捕まえていれば、痴漢被害は激減するはずなんですよ。
でも、被害は減っていない。
なぜか?

それは簡単な話ですね。


●警察が本気で痴漢を捕まえようと思っていない。


からです。
この僕の体験談から感じたことは、痴漢犯が「他人を盾にして行為を行う」という実態さえ把握していれば、


●痴漢は他人を盾にして行為を行います。注意して検挙しましょう。


という告知を駅ポスターなどで行うはずです。

しかし!

駅ポスターで張り出されているのは、


●痴漢は犯罪です。


という間の抜けたポスターばかり。(このポスターは、東京でも大阪でも、デザイン等は違っても駅に張り出されています。地方では見かけないかもしれませんが、東京・大阪圏ではけっこうよく見ます。)

わかっとるわ!ボケ! そんな当たり前の事を、なんでわざわざポスターにせなアカンねん? おまえら警察は低脳か? 国民の知能をそこまで低いと考えてるのか?

っちゅう話です。

つまり、痴漢が「他人を盾にする」という実態さえわかっているなら、そのことを知らせるポスターを張り出すのが犯罪予防の責務でしょうし、それすらしていないというのは、痴漢犯の実態を調べてすらいないということの証拠にしかならないってことです。

ですから、あの「痴漢は犯罪です」という、ポスターは、まさに警察が、

●痴漢犯の実態を把握すらしていない証拠そのもの

という事になるのですよ。

つまり、あのポスターこそ、

●痴漢事件を予防する責任を果たしていない。

ということの証なんですね。

犯罪を予防することもできず、犯罪の実態を調べもせず、ただ「自白の強要」だけをやって、仕事をしたことにしていて、それでいて、この大不況時に給料が下がることもなく、それどころか定期的な昇級まであるという、とんでもない奴らが警察官だってことです。

あのポスターが、その明らかな証拠なのです。

許せるものか。

が、しかし、話は、これだけでは終わりません。
警察に関しては、

●「私人による逮捕」の仕組みを政治的に悪用している疑いがある。

という、もっとも大きな疑いがあります。

が、話は長くなるので、また次回に続きます。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索