フラガールは日本の心なのだ!!!!!
2007年8月10日 映画 コメント (4)
DVD ハピネット・ピクチャーズ 2007/03/16 ¥3,990 昭和40年、福島県いわき市は炭鉱の町だったが、石炭から石油へエネルギー源が変わり、閉山が続いていた。その危機に炭鉱会社が目をつけたのは観光。いわき市にレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」と作ろうとする。目玉はフラダンスのステージだったが、ダンサー募集に集まったのは素人の娘たち。ダンス教師として東京からプロのダンサ…
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ふと気付くと、この異様に大好きな、特別で特殊な映画の事を、僕はこっちの日記に全然書いてなかったんですねぇ。
しまった!!!
大間抜けであります。
もうね、ほんとにね、異様に好きなんです。
これこそが日本なんだよ。一番素敵な日本人なんだよって気持ちと、ウクレレ大好きな気持ちと、ハワイという島国の文化と運命と日本という島国の運命と、人間が努力することの素敵さと、そういうあんなこんなが全部一本につまっていて、もう私的には評価不能なんですね。
点数つけろと言われたら100点以外につけようがない。だってジェイク・シマブクロのテーマソングを聴くだけで胸がつまって涙が出そうになっちゃうもんなぁ。
ということで、いちおうDVDはスタンダードエディションの分を貼り付けてありますが、当然ながら私はメモリアルBOXの方を購入しております。
もう、とにかく大好き。なんでもいいんだ、とにかく良いのだ。それだけ。他に言う事はない。
この映画に関しては、誰かが悪口を言っていたとしても「見たんだねぇ。ならそれでいいよ。うんうん。」とニコニコしてしまう。もう別格で好きだなぁ。
単純に僕は、これは日本人の心の故郷、生き抜く力の根源そのものだと思ってます。
だって、これ、ほぼ実話ですから。ほんとに。
もうたまらん。また泣けてきた。
ちゅうことで、以下今年の2月4日のmixiの日記から転載。
大きく、日本の文化論みたいな事も書いてますので、良かったら読んでみてください。
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ちょっとこのごろ映画づいておりますが、今日はフラガールを観てまいりました。
しかし、なんだ? この映画は! 実に素晴らしい!!!
いやー、大好きですよ。いい。
話題になってたときは、何故か興味が湧かなかったんですが、よくよく考えてみればハワイだし、フラだし、ウクレレともつながってるじゃん! と、後から無茶苦茶に気になってきまして、観たくてたまらなくなってたのですね。
でも上映は終わってるし、DVD発売は三月だし、どうしたものかと。
で、たまたま、今日はホール上映があったので出かけてきたのでした。35mmじゃなくて16mmなのかなぁ。まぁ、そんなことはどうでもいいですけど。
いやー、面白かった。素晴らしいですな。
まぁあの、フラの映画だし、どうしてもひいき目に、良い評価を出してしまいたくなるので、今回点数はつけないですけど、つけるのなら百点満点(明らかにひいきの引き倒しですが。)ですなぁ。
たぶん良くない点も多々あるとは想うんだけど、それはそれ、どうでもいいや。フラだし。ハワイだし。そういう事の日本映画だ、というだけで、もう私的には満点なので。あばたもえくぼっちゅうか、あばたがうまく見つけられませんでした。
フラはハワイの民族舞踊で、これこそがハワイ文化の伝統の本質でして、ウクレレはそれに色をつけるための付け足しにしかすぎないですからなぁ。
ちゃんとフラを分ってる人が監修してるというのが良く伝わってきたし、フラ独特の動きに「言葉の意味」が乗っている手話的特徴を、うまく映画の中にも活用してるし、踊りもキチンとしていて良かったのであります。
また、出てくる曲もちゃんとしてたし、そこも良かったですな。牧伸二師匠で有名な「やんなっちゃった節」も、ちゃんと原語のタフワフワイで出てきたし。みなさまごぞんじのブルーハワイもあった。(アロハオエが出てこなかった気がしたのだけどどうだっけ? まぁなくても、ジェイク・シマブクロが曲をつけてるから良しとしよう。)
なんでしょうね。泣いて笑ってケンカしてって、そのまんまやけど、面白くて泣けて楽しく元気の出る映画ってことで、とても良いです。
あと、蒼井優がやたらと良かったですねぇ。落語が好きなもので「タイガー&ドラゴン」も見ていて、あの番組に蒼井優が出ていて、「こりゃぁなかなか良い女優さんだ」と思って見ていたのですが、いや、この映画でも実に良いです。フラを踊ってる時の蒼井優は、まさにぴったんこのはまり役という気がしました。奇跡のような配役だ。
あ、松雪泰子もすんごく良かったんですがね。はすっぱな流れ者の女ダンス教師。なんちゅか、一種昔のヤクザ映画の流れですわな。旅の遊び人が地方へ流れてやってきて、そこで一悶着起こるという話。松雪さんの方は奇跡の配役とかではなくて、彼女の努力だろうなぁ。それが実を結んでる。
富司純子さんも良かったし、豊川悦司も良かった。岸部一徳ももうけ役。
僕はもうちょっとフラガールたち一人一人の青春群像に焦点を当てて描くのかと思っていただけに良い意味で期待を裏切られましたね。
炭坑町でしかなかった常磐で、温泉があることを利用して、温水で椰子の木を育て、常夏のハワイを日本に出現させるというとんでもない発想の娯楽施設を作るという物語。
運営するのは炭坑会社。生き残りのための必死の計画。そういうビジネス的な背景がちゃんと描かれていて、なおかつそれをなんとか乗り越えようとしているというところが実に素晴らしい。これは映画の素晴らしさというよりは、現実の素晴らしさなのかもしれませんけども。日本人、すごいやん! って感じもある。
で、炭坑からオイルへと、時代の変化が押し寄せる中で、自らが変るしかないという変化への対応というのが大きな時代の流れとして描かれていて、そういうところがまた良いわけです。青春群像も見たかったけど、時代の変化の話の方が大きな流れで見ることが出来て好きだなぁ、僕としては。
炭坑から常磐ハワイアンセンターですよ。このジャンプぶり! ここが素晴らしい! しかもダンサーは全員炭坑夫の娘ですよ。プロなんか呼んでないんだから。すげぇ!
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映画の感想はこんなところなんですが、ちょっと雑学的に、思うところを少し書いておきたいです。
まず、ハワイと日本という国の関係について。
これは共通項は「島国」という事です。なので実は、文化はまったく違うというのに、親和性は高い。不思議となじみが良いのです。
なんでもないように思えますが、この「島国同志の親近感」というのはバカにできないものなのです。
たとえば、ハワイと同じく島というなら沖縄があります。沖縄という島は、まさに日本の縮図でして、その矛盾がそのまま吹き出したような場所です。でも、基本として日本本土人は沖縄が好きです。それは多分、同じ島国だからでしょう。沖縄の人がどう思ってるかは良く分かりませんが、そういう気がします。
同じように日本人はハワイも好きです。これも同じ島国だからだと思います。
で、戦前、日本はアジア各地に侵略を行ったわけでして、その点、韓国の人たちからは恨まれています。(やはり創氏改名を強引にやったという点で恨まれてるんだと思う。)
ところが、韓国は半島文化ではありますが、島国文化ではないんですね。似ているようでいて、実は大陸文化の中の一勢力でしかないのです。
で、戦前は日本はおなじように台湾をも占領して自分たちの土地としてさまざまな政策を行ってきたわけですが、実は台湾の人たちというのは親日本という方方が多い。台湾のお年寄りには日本語をちゃんと話せて日本に対して親近感を抱いてくださっている方がけっこう多いのだそうです。
この韓国と台湾の違いはいったい何だ? という時に、やはり島国と大陸文化の違いというのが大きいのではないか? というのが、例の小林よしのりの説なのですが、僕はこの説に賛意を示したいわけです。
というのは、ウクレレが好きでハワイの歴史とかも多少聞いたりするし、日本の歴史や沖縄の歴史、台湾の歴史をみても、どの国も「時代に翻弄される」という嵐の中をかいくぐって、なんとか生き残ってきた国ばかりだからなんですね。
それっていったいどういう事? ってずっと思ってたんですけど、この「フラガール」を見ていて、大きな当たり前の事実に気がついたんですね。
島国っていうのは、文化的にジャンプするしかない運命なんです。ようするに、大陸の文化のように、日々日常から、異文化同志の交流があって、時代の変化や文化の変容がゆっくりと日常から徐々に浸透していく環境にはないってことですね。
砲丸外交という言葉がありまして、ようするに日本の歴史における「黒船」ですが、武力でもって重い扉をこじ開けさせるというやり方です。
この砲丸外交に近い扱いを、島国はどうしてもされてしまう。されてしまうも何も、実はそういう具合に「大陸」の側で物事が大きく変ってしまってから後にしか、新しい文化はやってこないような構造なわけです。それが島国だってことです。
これが普段から国境の向こうに外国があるという環境なら、少しずつでも他国の動きを感じ取る事ができるんでしょうが、島国にはそれが無理なんですね。
だから、世界の時代が大きく変化する時、島国に住む我々は、常磐ハワイアンセンターの誕生のように、炭坑夫の娘からフラガールへとジャンプすることが、どうしても必要になってしまうのです。
変化がゆるやかに来るのならいい。でも島国では多くの場合、変化は砲丸外交のように、急激な形で、とても性急にやってくるのです。
だから常磐ハワイアンセンターのように、うまくジャンプすることができればいいんだけれど、たとえばこの数年の自殺者の増大とか児童虐待の流れとか、失敗すると精神的にも辛い思いをするし、フォローするのが大変になるわけです。
で、ここまで話を進めたときに、僕の頭の中をよぎるのは地政学の話です。
地政学というのは、戦争を勧めるときに地の利を考えるというような所から発生した学問で、地域や文化配置的な側面から戦略を練るときの考え方をまとめたような学問らしいのですが、(詳しくはないです。日本では戦争につながるような学問は忌み嫌われて、まともに成長してませんから。日本人が一番弱い分野でしょう。たぶん。)その地政学の考え方に、ランドパワーとシーパワーとリムランドというのがあります。
ランドパワーというのは大陸の権力ですね。ハートランド、つまり人が住む中央部を握ったとても強い力をもつ経済圏であったり軍事領域だったりが中央にあって、その中央部を握った者が大きな権力を取ります。
で、シーパワーというのは大陸ではなく海の真ん中にいて、他国と隣り合わせず、ランドパワーのように異文化との調整過程が少ない権力の事です。
このランドパワーとシーパワーは、大きくは異なる体系にいて、価値観も政治の進め方も全然違うわけです。
で、リムランドはこの2つの力にバランスされながら存在しているということだと思います。あんまり詳しくは勉強してないので、その程度の知識しかないですが。
で、シーパワーはイギリスのような国が代表ですね。そして、イギリスは島国です。ヨーロッパ各国のように大陸の中に異文化が共存している事を前提とした国の形ではありません。まず海という大きな境界線ありきで、その前提無しに他国との政治取引は成立しない国です。
で、実は、アメリカもまたシーパワーの代表なのです。他国との境界線を自国内にはあまり多く持っていません。カナダくらいのものです。(あと南米と。)
まぁ日本はリムランドに入るしかないんだろうと思いますが、あくまでリムランドというのは周辺国家というような事だけでして、大きくはシーパワーかランドパワーかという二分法で考えるというのが地政学らしいので、それに従うなら、日本はシーパワー的文化体系に属するわけです。
逆に言うなら、アメリカも島国だってことです。で、まさにアメリカがやっていることは黒船にせよ近年のイラク侵攻にせよ、島国特有の「性急なジャンプ」に等しい。
で、イラク侵攻というのは、アメリカが日本を民主化(民主化と民主主義国家というのとは全然別物です。民主化というのは、力で無理矢理民主的な政治手法を植え付けるというやり方で、まぁ日本人がやった創氏改名とおなじことです。)することに成功したから、同じやりかたでイラクも「民主化」できると踏んで失敗したという事なんだろうと僕は見てます。
日本はうまくいったのよ。そら。同じ島国同士だから。日本人がジャンプしてあわせてやったんだよね。
でも、日本が韓国ではうまくいかなかったように、アメリカもイラクでは民主化は大失敗ですね。
それはランドパワーのあり方とシーパワーのあり方をごちゃ混ぜにしてしまったからだろうなと、最近では思います。
で、そんな事を思うと、この映画に出てきた「炭坑夫の娘からフラガールへのジャンプ」っていうのは、しかしまぁ、なんと上手にジャンプしたもんだろうか? って思うのです。
でも、別にそのジャンプに地政学も地域の歴史も必要はなかったわけですよ。ただ、自分たちの出来ることをコツコツと積み重ねて、その向こう側を思い描くだけで良いわけで。
そういう意味で、この映画っていうのが、事実を元にしているだけに客観的な評価が全然できないという理由であったりします。
良いも悪いもねぇんだよ。時代が変るんだから、やるしかねぇっぺ。って感じ。
ジャンプするしかないんですね。いくら無謀に見えても。
まぁ、実は、僕がカエルが好きっていうのも、この「ジャンプ」を意識させるからなんですけどね。
長々書きましたが、この感想と映画は、まるっきり関係ないです。まったくもって僕の単なる思いこみでありまして。
楽しめる映画ですので、ぜひみなさまもどうぞご覧くださいませ。
ではでは。
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ふと気付くと、この異様に大好きな、特別で特殊な映画の事を、僕はこっちの日記に全然書いてなかったんですねぇ。
しまった!!!
大間抜けであります。
もうね、ほんとにね、異様に好きなんです。
これこそが日本なんだよ。一番素敵な日本人なんだよって気持ちと、ウクレレ大好きな気持ちと、ハワイという島国の文化と運命と日本という島国の運命と、人間が努力することの素敵さと、そういうあんなこんなが全部一本につまっていて、もう私的には評価不能なんですね。
点数つけろと言われたら100点以外につけようがない。だってジェイク・シマブクロのテーマソングを聴くだけで胸がつまって涙が出そうになっちゃうもんなぁ。
ということで、いちおうDVDはスタンダードエディションの分を貼り付けてありますが、当然ながら私はメモリアルBOXの方を購入しております。
もう、とにかく大好き。なんでもいいんだ、とにかく良いのだ。それだけ。他に言う事はない。
この映画に関しては、誰かが悪口を言っていたとしても「見たんだねぇ。ならそれでいいよ。うんうん。」とニコニコしてしまう。もう別格で好きだなぁ。
単純に僕は、これは日本人の心の故郷、生き抜く力の根源そのものだと思ってます。
だって、これ、ほぼ実話ですから。ほんとに。
もうたまらん。また泣けてきた。
ちゅうことで、以下今年の2月4日のmixiの日記から転載。
大きく、日本の文化論みたいな事も書いてますので、良かったら読んでみてください。
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ちょっとこのごろ映画づいておりますが、今日はフラガールを観てまいりました。
しかし、なんだ? この映画は! 実に素晴らしい!!!
いやー、大好きですよ。いい。
話題になってたときは、何故か興味が湧かなかったんですが、よくよく考えてみればハワイだし、フラだし、ウクレレともつながってるじゃん! と、後から無茶苦茶に気になってきまして、観たくてたまらなくなってたのですね。
でも上映は終わってるし、DVD発売は三月だし、どうしたものかと。
で、たまたま、今日はホール上映があったので出かけてきたのでした。35mmじゃなくて16mmなのかなぁ。まぁ、そんなことはどうでもいいですけど。
いやー、面白かった。素晴らしいですな。
まぁあの、フラの映画だし、どうしてもひいき目に、良い評価を出してしまいたくなるので、今回点数はつけないですけど、つけるのなら百点満点(明らかにひいきの引き倒しですが。)ですなぁ。
たぶん良くない点も多々あるとは想うんだけど、それはそれ、どうでもいいや。フラだし。ハワイだし。そういう事の日本映画だ、というだけで、もう私的には満点なので。あばたもえくぼっちゅうか、あばたがうまく見つけられませんでした。
フラはハワイの民族舞踊で、これこそがハワイ文化の伝統の本質でして、ウクレレはそれに色をつけるための付け足しにしかすぎないですからなぁ。
ちゃんとフラを分ってる人が監修してるというのが良く伝わってきたし、フラ独特の動きに「言葉の意味」が乗っている手話的特徴を、うまく映画の中にも活用してるし、踊りもキチンとしていて良かったのであります。
また、出てくる曲もちゃんとしてたし、そこも良かったですな。牧伸二師匠で有名な「やんなっちゃった節」も、ちゃんと原語のタフワフワイで出てきたし。みなさまごぞんじのブルーハワイもあった。(アロハオエが出てこなかった気がしたのだけどどうだっけ? まぁなくても、ジェイク・シマブクロが曲をつけてるから良しとしよう。)
なんでしょうね。泣いて笑ってケンカしてって、そのまんまやけど、面白くて泣けて楽しく元気の出る映画ってことで、とても良いです。
あと、蒼井優がやたらと良かったですねぇ。落語が好きなもので「タイガー&ドラゴン」も見ていて、あの番組に蒼井優が出ていて、「こりゃぁなかなか良い女優さんだ」と思って見ていたのですが、いや、この映画でも実に良いです。フラを踊ってる時の蒼井優は、まさにぴったんこのはまり役という気がしました。奇跡のような配役だ。
あ、松雪泰子もすんごく良かったんですがね。はすっぱな流れ者の女ダンス教師。なんちゅか、一種昔のヤクザ映画の流れですわな。旅の遊び人が地方へ流れてやってきて、そこで一悶着起こるという話。松雪さんの方は奇跡の配役とかではなくて、彼女の努力だろうなぁ。それが実を結んでる。
富司純子さんも良かったし、豊川悦司も良かった。岸部一徳ももうけ役。
僕はもうちょっとフラガールたち一人一人の青春群像に焦点を当てて描くのかと思っていただけに良い意味で期待を裏切られましたね。
炭坑町でしかなかった常磐で、温泉があることを利用して、温水で椰子の木を育て、常夏のハワイを日本に出現させるというとんでもない発想の娯楽施設を作るという物語。
運営するのは炭坑会社。生き残りのための必死の計画。そういうビジネス的な背景がちゃんと描かれていて、なおかつそれをなんとか乗り越えようとしているというところが実に素晴らしい。これは映画の素晴らしさというよりは、現実の素晴らしさなのかもしれませんけども。日本人、すごいやん! って感じもある。
で、炭坑からオイルへと、時代の変化が押し寄せる中で、自らが変るしかないという変化への対応というのが大きな時代の流れとして描かれていて、そういうところがまた良いわけです。青春群像も見たかったけど、時代の変化の話の方が大きな流れで見ることが出来て好きだなぁ、僕としては。
炭坑から常磐ハワイアンセンターですよ。このジャンプぶり! ここが素晴らしい! しかもダンサーは全員炭坑夫の娘ですよ。プロなんか呼んでないんだから。すげぇ!
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映画の感想はこんなところなんですが、ちょっと雑学的に、思うところを少し書いておきたいです。
まず、ハワイと日本という国の関係について。
これは共通項は「島国」という事です。なので実は、文化はまったく違うというのに、親和性は高い。不思議となじみが良いのです。
なんでもないように思えますが、この「島国同志の親近感」というのはバカにできないものなのです。
たとえば、ハワイと同じく島というなら沖縄があります。沖縄という島は、まさに日本の縮図でして、その矛盾がそのまま吹き出したような場所です。でも、基本として日本本土人は沖縄が好きです。それは多分、同じ島国だからでしょう。沖縄の人がどう思ってるかは良く分かりませんが、そういう気がします。
同じように日本人はハワイも好きです。これも同じ島国だからだと思います。
で、戦前、日本はアジア各地に侵略を行ったわけでして、その点、韓国の人たちからは恨まれています。(やはり創氏改名を強引にやったという点で恨まれてるんだと思う。)
ところが、韓国は半島文化ではありますが、島国文化ではないんですね。似ているようでいて、実は大陸文化の中の一勢力でしかないのです。
で、戦前は日本はおなじように台湾をも占領して自分たちの土地としてさまざまな政策を行ってきたわけですが、実は台湾の人たちというのは親日本という方方が多い。台湾のお年寄りには日本語をちゃんと話せて日本に対して親近感を抱いてくださっている方がけっこう多いのだそうです。
この韓国と台湾の違いはいったい何だ? という時に、やはり島国と大陸文化の違いというのが大きいのではないか? というのが、例の小林よしのりの説なのですが、僕はこの説に賛意を示したいわけです。
というのは、ウクレレが好きでハワイの歴史とかも多少聞いたりするし、日本の歴史や沖縄の歴史、台湾の歴史をみても、どの国も「時代に翻弄される」という嵐の中をかいくぐって、なんとか生き残ってきた国ばかりだからなんですね。
それっていったいどういう事? ってずっと思ってたんですけど、この「フラガール」を見ていて、大きな当たり前の事実に気がついたんですね。
島国っていうのは、文化的にジャンプするしかない運命なんです。ようするに、大陸の文化のように、日々日常から、異文化同志の交流があって、時代の変化や文化の変容がゆっくりと日常から徐々に浸透していく環境にはないってことですね。
砲丸外交という言葉がありまして、ようするに日本の歴史における「黒船」ですが、武力でもって重い扉をこじ開けさせるというやり方です。
この砲丸外交に近い扱いを、島国はどうしてもされてしまう。されてしまうも何も、実はそういう具合に「大陸」の側で物事が大きく変ってしまってから後にしか、新しい文化はやってこないような構造なわけです。それが島国だってことです。
これが普段から国境の向こうに外国があるという環境なら、少しずつでも他国の動きを感じ取る事ができるんでしょうが、島国にはそれが無理なんですね。
だから、世界の時代が大きく変化する時、島国に住む我々は、常磐ハワイアンセンターの誕生のように、炭坑夫の娘からフラガールへとジャンプすることが、どうしても必要になってしまうのです。
変化がゆるやかに来るのならいい。でも島国では多くの場合、変化は砲丸外交のように、急激な形で、とても性急にやってくるのです。
だから常磐ハワイアンセンターのように、うまくジャンプすることができればいいんだけれど、たとえばこの数年の自殺者の増大とか児童虐待の流れとか、失敗すると精神的にも辛い思いをするし、フォローするのが大変になるわけです。
で、ここまで話を進めたときに、僕の頭の中をよぎるのは地政学の話です。
地政学というのは、戦争を勧めるときに地の利を考えるというような所から発生した学問で、地域や文化配置的な側面から戦略を練るときの考え方をまとめたような学問らしいのですが、(詳しくはないです。日本では戦争につながるような学問は忌み嫌われて、まともに成長してませんから。日本人が一番弱い分野でしょう。たぶん。)その地政学の考え方に、ランドパワーとシーパワーとリムランドというのがあります。
ランドパワーというのは大陸の権力ですね。ハートランド、つまり人が住む中央部を握ったとても強い力をもつ経済圏であったり軍事領域だったりが中央にあって、その中央部を握った者が大きな権力を取ります。
で、シーパワーというのは大陸ではなく海の真ん中にいて、他国と隣り合わせず、ランドパワーのように異文化との調整過程が少ない権力の事です。
このランドパワーとシーパワーは、大きくは異なる体系にいて、価値観も政治の進め方も全然違うわけです。
で、リムランドはこの2つの力にバランスされながら存在しているということだと思います。あんまり詳しくは勉強してないので、その程度の知識しかないですが。
で、シーパワーはイギリスのような国が代表ですね。そして、イギリスは島国です。ヨーロッパ各国のように大陸の中に異文化が共存している事を前提とした国の形ではありません。まず海という大きな境界線ありきで、その前提無しに他国との政治取引は成立しない国です。
で、実は、アメリカもまたシーパワーの代表なのです。他国との境界線を自国内にはあまり多く持っていません。カナダくらいのものです。(あと南米と。)
まぁ日本はリムランドに入るしかないんだろうと思いますが、あくまでリムランドというのは周辺国家というような事だけでして、大きくはシーパワーかランドパワーかという二分法で考えるというのが地政学らしいので、それに従うなら、日本はシーパワー的文化体系に属するわけです。
逆に言うなら、アメリカも島国だってことです。で、まさにアメリカがやっていることは黒船にせよ近年のイラク侵攻にせよ、島国特有の「性急なジャンプ」に等しい。
で、イラク侵攻というのは、アメリカが日本を民主化(民主化と民主主義国家というのとは全然別物です。民主化というのは、力で無理矢理民主的な政治手法を植え付けるというやり方で、まぁ日本人がやった創氏改名とおなじことです。)することに成功したから、同じやりかたでイラクも「民主化」できると踏んで失敗したという事なんだろうと僕は見てます。
日本はうまくいったのよ。そら。同じ島国同士だから。日本人がジャンプしてあわせてやったんだよね。
でも、日本が韓国ではうまくいかなかったように、アメリカもイラクでは民主化は大失敗ですね。
それはランドパワーのあり方とシーパワーのあり方をごちゃ混ぜにしてしまったからだろうなと、最近では思います。
で、そんな事を思うと、この映画に出てきた「炭坑夫の娘からフラガールへのジャンプ」っていうのは、しかしまぁ、なんと上手にジャンプしたもんだろうか? って思うのです。
でも、別にそのジャンプに地政学も地域の歴史も必要はなかったわけですよ。ただ、自分たちの出来ることをコツコツと積み重ねて、その向こう側を思い描くだけで良いわけで。
そういう意味で、この映画っていうのが、事実を元にしているだけに客観的な評価が全然できないという理由であったりします。
良いも悪いもねぇんだよ。時代が変るんだから、やるしかねぇっぺ。って感じ。
ジャンプするしかないんですね。いくら無謀に見えても。
まぁ、実は、僕がカエルが好きっていうのも、この「ジャンプ」を意識させるからなんですけどね。
長々書きましたが、この感想と映画は、まるっきり関係ないです。まったくもって僕の単なる思いこみでありまして。
楽しめる映画ですので、ぜひみなさまもどうぞご覧くださいませ。
ではでは。