ジョブズがなくなりました。
2011年10月6日 ●じぶんの心マップジョブズがなくなりました。
大変残念です。
心よりご冥福をお祈りするとともに、これからの世界のデジタルツールの進化が大きく遅れる気がして寂しい気持ちにもなります。
僕は昔、ものすごくアンチMAC派だったんですね。マックの事が大嫌いでした。でも、それはいまにして思えば、まさにジョブズがアップルを追い出されて、「コーラ屋」ジョン・スカリーがappleの実権を握っている期間と完全に一致してるんですね。あの時代のマックは、本当に大嫌いでした。なんせウィンドウズパソコンの真似ばっかりしてたから。規格統一した方が良い事柄は、そのまま公開していった方がいいし、そうでない路線を選ぶのなら徹底して独自路線で行くべきなんですよね。そこの割り切りが全然できてなかった。要するに社会性がなかったんです。スカリー時代のアップルには。単に社会の迷惑存在でしかなかったと思う。
ところが、ジョブズがアップルに帰還した途端に、まずiMacを出しWindowsパソコンとは別の路線、アナザーPCとしての方向性を明確にして、マックの互換機路線をやめたわけです。ようはウィンドウズの真似をやめた。
「おおお、素晴らしい。」
てな感じでした。
CEOが変わるだけで、こんなに企業として変わるんだなぁとつくづく感心したものであります。
マックやアップルの文化にはまったく興味がなかったけど、このジョブズの明確な方針の打ち出し方は、ものすごくまっとうで、「良いなぁ」と感じていたので、その後のiPodの快進撃などにも注目していて、結局、いまでは携帯電話はiPhoneになっています。
iPhoneは、使い出した当初は、もうそれこそ「palmの再来」とか「完成形のpalm」という感じがして、一時期palmをけっこうヘビーに使っていた僕には全然違和感なく使えて、すごく使いやすかったのです。分かってる人には分かると思いますけど、パソコンのコンパニオンというか、PCを補佐する道具としてのポジショニングがpalmの役割で、だからこそパソコンに接続するソフトこそがpalmの基本的構造だったわけですけど、iPhoneもiTunesで、同じ仕組みからiPhoneの世界に入るようになってて、そういう「パソコンの補佐役」という仕組みは踏襲してるわけです。
でも、そのパソコンとつなぐiTunesは、ジョブズが音楽業界をひっくり返した音楽のデジタル販売システムとつながってるソフトですし、これまた分かってる人は分かってますけど、iTunesは本当は「パソコン連携ソフト」なんかではなくて、「本格的データベースソフト」であって、「どんなコンテンツでも一括管理可能な基本システム」だったりするわけです。
アップルにもマックにも全然興味はなかったんですが、ジョブズという人には興味があって、ジョブズの関連の話を読んでいくと、ジョブズは映画業界をCGで根本からひっくり返して、音楽業界をiTuneで根本からひっくり返して、ソフトウェア産業をAppStoreで根本からひっくり返してるわけです。
なんというか、アメリカがもっとも得意とするコンテンツ産業の仕組みそのものを全部ひっくり返してしまっていて、その活躍は小気味よいくらいです。
こんどアップルがクラウドに参入しますが、クラウド参入により、実はiPhoneのアクティベートというものが必要なくなり、iPhoneは「PCのコンパニオン」ですらなくなる事になるわけです。まさに「手のひらのコンピュータ」として独立することになります。iPadが未来のコンピュータの基本形スタンダードになるのでしょう。
iMacは単に「見た目が違うパソコン」でしかなかったのですが、実は「PCを販売するターゲットを変更した」というところがすごかったわけです。市場を広く取った。そこが成功のポイントだったわけです。
任天堂だって、従来の「ゲーム」では市場が狭すぎるから、教育ソフトまで「ゲーム的演出」をつけて「これもゲームです。」と強弁することで市場を広げて成功したわけですが、それと同じ事をジョブズはやったわけです。
で、単なる市場の拡大策だけだと、広げた市場を他社に食い荒らされるだけなのを、たとえば映画ならフルCGであるとか、音楽ならiTuneというDBソフトとか、デジタル技術(=旧産業が苦手とする技術)で優位性を保ちながら着実にユーザーを囲い込んできたわけです。
パソコンなど出さずにiMacの次にはiPodを出し、音楽市場をひっくり返しつつiPodという差別要因で音楽業界の他社を引き離し、「PCではない市場」でシェアを広げ、その基盤を保ったまま、こんどはiPhoneで携帯市場に入り、それがPCともつながって、とうとうiPad+クラウドでPC市場をも制覇できるところまでやってきたわけです。
この一手一手が、実に巧妙だなぁと僕は思います。囲碁の目のつなぎ方とか、そういうのに似てる気がする。単純な正攻法とは全然違うんですけど、でもすべての行動はひとつに集約可能な可能性をつねに残している。自分の努力が最大限の結果につながるように考えていて、で、そこまで考えている人が少ないが故に、ジョブズの先の手を読める人がおらず、(他の業界の事まで考慮してるから、まぁ自分の陣地しか知らない人には読めない。)結果として、一人勝ちになってるわけです。
実にすごいよなあ。
ほかにもいろいろ感心することはあるんですけど、とりあえずはここまでにしときたい。
とにもかくにも、ジョブズがいなくなって、これからのデジタルワールドはどうなってしまうのか不安でありつつ、面白くもあるというところ。
天国でゆっくり休んでくださいませ。ジョブズさま。
大変残念です。
心よりご冥福をお祈りするとともに、これからの世界のデジタルツールの進化が大きく遅れる気がして寂しい気持ちにもなります。
僕は昔、ものすごくアンチMAC派だったんですね。マックの事が大嫌いでした。でも、それはいまにして思えば、まさにジョブズがアップルを追い出されて、「コーラ屋」ジョン・スカリーがappleの実権を握っている期間と完全に一致してるんですね。あの時代のマックは、本当に大嫌いでした。なんせウィンドウズパソコンの真似ばっかりしてたから。規格統一した方が良い事柄は、そのまま公開していった方がいいし、そうでない路線を選ぶのなら徹底して独自路線で行くべきなんですよね。そこの割り切りが全然できてなかった。要するに社会性がなかったんです。スカリー時代のアップルには。単に社会の迷惑存在でしかなかったと思う。
ところが、ジョブズがアップルに帰還した途端に、まずiMacを出しWindowsパソコンとは別の路線、アナザーPCとしての方向性を明確にして、マックの互換機路線をやめたわけです。ようはウィンドウズの真似をやめた。
「おおお、素晴らしい。」
てな感じでした。
CEOが変わるだけで、こんなに企業として変わるんだなぁとつくづく感心したものであります。
マックやアップルの文化にはまったく興味がなかったけど、このジョブズの明確な方針の打ち出し方は、ものすごくまっとうで、「良いなぁ」と感じていたので、その後のiPodの快進撃などにも注目していて、結局、いまでは携帯電話はiPhoneになっています。
iPhoneは、使い出した当初は、もうそれこそ「palmの再来」とか「完成形のpalm」という感じがして、一時期palmをけっこうヘビーに使っていた僕には全然違和感なく使えて、すごく使いやすかったのです。分かってる人には分かると思いますけど、パソコンのコンパニオンというか、PCを補佐する道具としてのポジショニングがpalmの役割で、だからこそパソコンに接続するソフトこそがpalmの基本的構造だったわけですけど、iPhoneもiTunesで、同じ仕組みからiPhoneの世界に入るようになってて、そういう「パソコンの補佐役」という仕組みは踏襲してるわけです。
でも、そのパソコンとつなぐiTunesは、ジョブズが音楽業界をひっくり返した音楽のデジタル販売システムとつながってるソフトですし、これまた分かってる人は分かってますけど、iTunesは本当は「パソコン連携ソフト」なんかではなくて、「本格的データベースソフト」であって、「どんなコンテンツでも一括管理可能な基本システム」だったりするわけです。
アップルにもマックにも全然興味はなかったんですが、ジョブズという人には興味があって、ジョブズの関連の話を読んでいくと、ジョブズは映画業界をCGで根本からひっくり返して、音楽業界をiTuneで根本からひっくり返して、ソフトウェア産業をAppStoreで根本からひっくり返してるわけです。
なんというか、アメリカがもっとも得意とするコンテンツ産業の仕組みそのものを全部ひっくり返してしまっていて、その活躍は小気味よいくらいです。
こんどアップルがクラウドに参入しますが、クラウド参入により、実はiPhoneのアクティベートというものが必要なくなり、iPhoneは「PCのコンパニオン」ですらなくなる事になるわけです。まさに「手のひらのコンピュータ」として独立することになります。iPadが未来のコンピュータの基本形スタンダードになるのでしょう。
iMacは単に「見た目が違うパソコン」でしかなかったのですが、実は「PCを販売するターゲットを変更した」というところがすごかったわけです。市場を広く取った。そこが成功のポイントだったわけです。
任天堂だって、従来の「ゲーム」では市場が狭すぎるから、教育ソフトまで「ゲーム的演出」をつけて「これもゲームです。」と強弁することで市場を広げて成功したわけですが、それと同じ事をジョブズはやったわけです。
で、単なる市場の拡大策だけだと、広げた市場を他社に食い荒らされるだけなのを、たとえば映画ならフルCGであるとか、音楽ならiTuneというDBソフトとか、デジタル技術(=旧産業が苦手とする技術)で優位性を保ちながら着実にユーザーを囲い込んできたわけです。
パソコンなど出さずにiMacの次にはiPodを出し、音楽市場をひっくり返しつつiPodという差別要因で音楽業界の他社を引き離し、「PCではない市場」でシェアを広げ、その基盤を保ったまま、こんどはiPhoneで携帯市場に入り、それがPCともつながって、とうとうiPad+クラウドでPC市場をも制覇できるところまでやってきたわけです。
この一手一手が、実に巧妙だなぁと僕は思います。囲碁の目のつなぎ方とか、そういうのに似てる気がする。単純な正攻法とは全然違うんですけど、でもすべての行動はひとつに集約可能な可能性をつねに残している。自分の努力が最大限の結果につながるように考えていて、で、そこまで考えている人が少ないが故に、ジョブズの先の手を読める人がおらず、(他の業界の事まで考慮してるから、まぁ自分の陣地しか知らない人には読めない。)結果として、一人勝ちになってるわけです。
実にすごいよなあ。
ほかにもいろいろ感心することはあるんですけど、とりあえずはここまでにしときたい。
とにもかくにも、ジョブズがいなくなって、これからのデジタルワールドはどうなってしまうのか不安でありつつ、面白くもあるというところ。
天国でゆっくり休んでくださいませ。ジョブズさま。
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