数日前に、小室直樹先生がお亡くなりになりました。
本当に尊敬している先生でしたので、少々ショックです。まだ78才というお話しですし。
心から、ご冥福をお祈りします。

ツイッターの方で連続ツイートで、その死を悼んだ文章を書いたのですが、何人かの方から同様に残念ですという返信をいただきました。

いま民主党代表選で、日本の民主主義が問われようとしている時に、この訃報。身を引き締めねばと思います。

民主主義の手続きの大切さも分かっていない人は、ぜひとも小室先生の著作を読んで、世界基準の知性に触れ、無知なままでいるということは、自分で自分の首をしめることにしかならないのだ、と言うことを、もう少し自覚して欲しいと思います。

(以下ツイッターより転載:一部加筆)---------------------------------
おはようございます。昨日、小室直樹さんが数日前(9月7日頃)お亡くなりになっていたことを知りました。社会学を中心に、経済、法学、宗教学、歴史、数学と実に幅広い分野での世界レベルでの「基礎素養」を教えていただいた気がします。心からご冥福をお祈りします。

あまりに偉大な方なので、いくつか書いておきたくなります。たとえば政治について語るにしても、たとえば三権分立の精神や、それに基づいた法体系、各部署の役割などを、正しく知っていなければ批判もできなければ、意見もできるわけがありません。そういう大枠を語ったのが小室先生です。

日本人は、政治や社会の仕組み、たとえば「自由」や「民主的」ということを、明治以来学び続けていますが、まだまだ日本人的解釈で適当に考えているところが多いようです。そういう「知ってるつもり」の部分を、懇切ていねいに、分かりやすく教えてくださったのが小室先生です。

生粋の学者さんであり、学者魂のかたまりというような方でしたから、自分の意見をとうとうと述べると言うことは、実は少なく、「学問的に解釈が間違っている」とか、「法の精神の運用を間違えている」というような事に関して厳しく是正する、というご意見が多かったと思います。

どんなにしっかりと考えられた民主的な「手続き」であったとしても、「運用」が間違っていれば、正しい機能を発揮しません。車のオーナーになってもブレーキとアクセルを踏み間違えたらとんでもないことになります。小室先生のご著書には、つねにそういう「本質」が書かれていました。

実は1980年に発刊された小室先生初の一般向け書籍である『ソビエト帝国の崩壊』

●ソビエト帝国の崩壊―瀕死のクマが世界であがく
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/B000J8688G/249-9767057-8485143

を当時、僕は読んでいます。1991年のソ連の崩壊を予言した書として、後から評価が高まったようですが、それとは知らず、ただ社会の機能構造分析の考え方の面白さに大変感心したものでした。

その後僕はライターとして仕事を始めて、ある時期に自分の歴史無知を恥ずかしく思い、織田信長関連の書籍を10冊以上一気読みしたことがあるのですが、その最後に読んだのが小室先生の「信長の呪い」

●信長の呪い―かくて、近代日本は生まれた
ISBN:4334005179 新書 小室 直樹 光文社 1992/01 ¥805

でした。それまで読んだどの信長本より、この本がもっとも優れた内容だと深く感心しました。
(この本は、前にこの日記で紹介しています。)
http://hitoyomi.diarynote.jp/200501040120120000/


日本では、歴史と言えば司馬遼太郎という定番がありますが、司馬遼太郎の信長を扱った小説「国盗り物語」では、「桶狭間の戦い」は谷間での合戦になっています。しかし、もっとも史実に忠実だと言われる「信長公記」には「おけはざまやま」と「山」の記述になっています。

この事実を指摘していたのが小室先生の「信長の呪い」で、資料を読む場合には一文字とて読み過ごしては大きな間違いをすると言うことを学んだ気がします。ライターをやっていて、そういう資料をキチンと読むという態度を身につけるにおいても、多くを学ばせていただいたと思っています。

その後、「痛快!憲法学」

●痛快!憲法学
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4797670312

(現在は「憲法原論」というタイトルで出ています。)
●日本人のための憲法原論
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4797671459

で、
ヨーロッパの歴史と法、民主主義のあるべき姿を学び、「宗教原論」

●日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4198611688


で世界の重要な宗教の本質について知識をいただきました。どの本もわかりやすく面白いのに、世界基準での学問常識がキチンと学べます。すごい。

「学恩」という言葉があるのですが、小室先生には、まさに「学恩」を感じています。人は死んでしまうと何も残らない事が多いのですが、先生の場合には多くの素晴らしいご著書がありますので、それが今後も多くの方に広く読まれたらいいなぁと思います。

小室直樹先生は、時に奇人という評価が先行してしまう事が多かったのですが、結局、この20年くらいで着実に評価は上がってきていると思いますし、ネットでも10年前とは比べものにならないほど高評価になっているように感じます。

小室先生のご著書は、世界基準での学問を身につけるのに最適で、ひとりでも多くの日本人に読んでもらいたいと感じます。このツイートが気になった方は、ぜひ書店で手にとって読んでみてください。驚天動地の学問体験を得られます。素晴らしいです。ぜひどうぞ。

(ツイッターよりの転載終了)-------------------------------------------


そのほか、この日記でも、小室先生の話は、何度も書いてます。

知るよろこび
http://hitoyomi.diarynote.jp/200801120832090000/

小室直樹先生、老いて、なお軒昂なり。2009年5月17日
http://hitoyomi.diarynote.jp/200905171330001449/

興味のある方はどうぞ。

これからの日本は、我々の肩にかかっているのだ、と言うことを強く感じます。みなさんもゆっくりと自覚していってください。
よろしくお願いします。

コメント

きゃおる
2010年9月14日12:18

訃報、ガセでは、という情報もあったけど、事実でしたか。

シゲ
2010年9月14日12:46

>きゃおるさん
書き込みありがとう。
ソースは副島隆彦さん。出版社の人からの伝聞だそうです。副島さん自身も葬儀には参列されてません。でもまぁ、事実でしょう。わざわざガセネタを流す意味がないですし。

小室先生に関しては、この10年で評価はどんどん高まっていると思います。ツイッターでも「私も小室先生にはたくさん学ばせていただきました」と賛意を示してくだされる方ばかりでした。

たくさん著作を残しておられますから、そこは大きな救いで、もっともっと多くの方に世界水準の常識を学んでいただきたいと思います。日本はまだまだ社会科学的な知性は、かなーーーーり低い、というのが現状ですから。世界の中の土人と言い換えてもいいくらいです。
そのあたりを学ぶためにも、ぜひ。

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