鳩山退陣発言全文

2010年6月4日
コメント欄のほうで、鳩山さんの退陣の弁を、最低3回は読め、と書いたので、全文を転載しておきます。読みなさい、と言っても読まない人がけっこういてますし。
これだけの公人の発言だと、著作権うんぬんも関係ない。誰もがキチンと読んで、頭に入れるべき事でしょう。

鳩山さんは、実に頼りなくて、官僚と丁々発止でやり合う事もできなかったし、下手に米国を刺激してしまって、交渉に入る前に失敗していたという部分もかなり大きいと思います。
ですから、本当の事を言えば、総理の器ではなかったと正直思います。

しかし、それでも、我々国民の代表になった政治家で、この発言を読む限り、理想主義的すぎるきらいはあっても、真剣に日本の国民の側を向いていた人なんだな、ということだけは解ります。

また、ずっと普天間の問題に関しては「職を賭す」と言っていて、実際最後には辞める羽目になったわけだから、そういう意味で言葉にウソがなかったと言えます。5月末決着も本当にやったし、(結果はどうであるにせよ)とにかくウソはついていない人です。それだけでも信頼に足ると僕は思います。

また、この普天間を辺野古へという移転合意を日米で取り付けた後ですら、いまだ変わらず、「沖縄県外」を唱えておられる。このスタンスは、首尾一貫して変わらなかったんです。この人は。
ただ、回りがどうしてもそれを聞かなかった。関係5閣僚(総理・外務・防衛・国土・官房)が、次々と早々にギブアップしてしまったのに、この人だけは、それを良しとしなかった。
理念の高さだけは筋金入りです。

また、この発言でもっとも注目すべきは、

「日本の平和、日本人自身で作り上げていくときをいつかは求めなければならないと思っている。」

と、日本の自主防衛、自衛についてはっきりと明言している事です。これがかなり重要です。

鳩山由紀夫さんのおじいさん、鳩山一郎氏が、この「日本自主防衛」論の人でした。その薫陶をうけておられるという事でもあるのでしょう。

だから、その理念を、国民の側が本当にキチンと理解して、よく受け止めて、応援すべきだったのだと僕は思います。

個人的意見はいろいろあるのですが、とにかく、我々国民の代表であった鳩山さんの「敗戦の弁」に関してだけは、しっかりと、耳をかっぽじって、全国民が聞き届けるべきだと思います。


(以下鳩山退陣発言全文:開始)----------------------------------

お集まりの皆さん、ありがとうございます。そして国民の皆さん、本当にありがとうございました。国民の皆さんの昨年の暑い夏の戦い。その結果、日本の政治の歴史は大きく変わった。それは国民の判断は決して間違っていなかったと私は今でもそう確信をしている。こんなに若い素晴らしい国会議員がすくすくと育ち、国会の中で活動を始めてくれている。それも国民の判断のおかげだ。政権交代によって国民の皆さんのお暮らしが必ず良くなる、その確信の下で皆さん方がお選び頂き、私が首相として今日までその職を行って参りました。皆さん方と協力して日本の歴史を変えよう、官僚任せの政治じゃない、政治主導、国民が主役になる政治を作ろう。そのように思いながら今日まで頑張ってきたつもりだ。

私は今日、お集まりの国会議員と一緒に国民のための予算を成立させることができたと、そのことを誇りに思っている。ご案内の通り子ども手当もスタートした。高校の無償化も始まっている。子どもに優しい未来に、魅力のある日本に変えていこう。その私たちの判断は決して間違っていない。そう確信している。

産業を活性化させなきゃいけない。とくに1次産業が厳しい、農業の一生懸命やっている方の戸別所得補償制度、お米からではあるがスタートさせていくこともできている。そのことによって1次産業がさらに2次産業、3次産業と合わせて6次産業として大いに再生される日は近いと、私はそのようにも確信している。

様々な変化が国民の暮らしの中に起きている。水俣病もそうだ。さらには医療崩壊が始まっている地域の医療を何とかしなきゃいけない。厳しい予算の中で医療費をわずかですが増やすことができたのも、国民の意思だと、私はそのように思っている。これから、もっともっと人の命を大切にする政治、進めていかなければならない。


ただ、残念なことにそのような私たち政権与党のしっかりとした仕事が必ずしも国民の心に映っていない。国民が徐々に徐々に聞く耳を持たなくなってきてしまった。そのことは残念でなりませんし、まさにそれは私の不徳の致すところと、そのように思っている。

その原因、二つだけ申し上げる。やはりその一つは、普天間の問題でありましょう。沖縄の皆さんにも(鹿児島県の)徳之島の皆さんにもご迷惑をおかけしています。ただ、私は本当に沖縄の外に米軍の基地をできる限り移すために努力をしなきゃいけない、今までのように沖縄の中に基地を求めることが当たり前じゃないだろう、その思いで努力をして参りましたが、結果として県外にはなかなか届きませんでした。これからも県外にできる限り、彼ら(米軍)の仕事を外に移すよう努力をして参ることは言うまでもありませんが、一方で北朝鮮が韓国の哨戒艇を魚雷で沈没させるという事案も起きている。北東アジアは決して安全安心が確保されている状況ではない。その中で日米の信頼関係を保つと言うことが、日本だけではなく、東アジアの平和と安定のために不可欠なんだという、その思いのもとで残念ながら、沖縄にご負担をお願いせざるを得なくなった。そのことで、沖縄の皆様方にもご迷惑をおかけしています。

特に社民党さんに政権離脱という厳しい思いをお与えしてしまったことを、残念でなりません。ただ、皆さん。私も、これからも社民党さんとは、さまざま、国民新党さんと共にではありますが、一緒にいままで仕事をさせてきていただいた、これからもできる限りの協力をお願いして参りたい。さらに、沖縄の皆さん方にも、これからもできる限り、県外に米軍の基地というものを少しずつでも移すことができるように、新しい政権として努力を続けていくのがなにより大切だと思っている。


社民党より日米を重視した、けしからん。その気持ちも分からないでもありません。ただ、どうぞ、社民党さんとも協力関係を模索していきながら、いまここはやはり日米の信頼関係をなんとしても維持させていかなければならないという、その悲痛の思い、ぜひみなさんにもご理解を願いたいと思っている。私は、つまるところ、日本の平和、日本人自身で作り上げていくときをいつかは求めなければならないと思っている。アメリカに依存し続ける安全保障、これから50年、100年続けて良いとは思いません。そこのところも是非、みなさん、ご理解いただいて、だから鳩山がなんとしても少しでも県外にと思ってきた、その思い。ご理解を願えればと思っています。その中に私は、今回の普天間の本質が宿っている、そのように思っています。

いつか、私の時代は無理でありますが、あなた方の時代に日本の平和を、もっと日本人自身でしっかりと見つめあげていくことができるような、そんな環境を作ること、現在の日米の重要性は言うまでもありませんが、一方でそのことも模索をして頂きたい。私は、その確信の中で、しかし、社民党さんを政権離脱という大変厳しい道に追い込んでしまった。その責任は取らねばならない、そのように感じております。


いま一つはやはり政治とカネの問題であります。自民党を飛び出して、さきがけ、さらには民主党をつくりあげて来ましたのも、自民党政治ではだめだ、もっとお金にクリーンな政権をつくらなければ、国民の皆さん、政権に対して決して好意をもってくれない。なんとしてもクリーンな政治をとりもどそうではないか、その思いでございました。

それが結果として、自分自身が政治資金規正法違反の元秘書を抱えていたなどと言うことは、私自身まったく想像だにしておりませんでした。そして、そのことが、今日ご来会の議員の皆様方に大変なご迷惑をおかけしてしまったことを本当に申し訳なく、なんでクリーンであるはずの民主党の、しかも代表がこんな事件にまきこまれるのか。皆様方もさぞご苦労され、お怒りになったことだろうと思います。私は、そのような政治とお金に決別をさせる民主党を取り戻したいと思っています。みなさんいかがでしょうか。(拍手)

この問題をめぐって、私自身もこの職を引かせていただくことになりますが、あわせてこの問題は小沢幹事長にも、政治資金規正法の議論があったことも、皆様方周知のことでございます。


先般2度ほど、幹事長ともご相談を申し上げながら、「私も引きます。しかし、幹事長も恐縮ですが、幹事長の職を引いていただきたい。そのことによって、新しい民主党、よりクリーンな民主党を作り上げることができる」と申し上げました。幹事長も、「分かった」とそのように申されたのでございます。

決して自動的という話ではありません、お互いにその責めを果たさなければならない。重ねて、申し上げたいと思いますが、今日も見えております小林千代美議員にも、その責めをぜひ負っていただきたい。

誠に、この高い壇上から申し上げるのも恐縮でありますが、私たち民主党を再生させていくためには、とことんクリーンな民主党に戻そうじゃありませんか皆さん(拍手)。そのためのご協力をよろしくお願いいたします。

必ず、そうなれば国民の皆さんが、新たな民主党に対して聞く耳を持っていただくようになる。そのように確信をいたしております。私たちの声も国民の皆さんに届くでしょうし、国民の皆さんの声も、私たちにすとっと通る新しい政権に生まれ変わると確信をしています。

皆さん、私はしばしば宇宙人だと言われております。


それは、私なりに勝手に解釈すれば、今の日本の姿ではなく、5年、10年、20年、何か先の姿を国民の皆さんに常に申し上げているから、何をいっているのかわからんよと、そのように国民の皆さんに、あるいは映っているのではないか、そのようにも思います。

たとえば、地域主権。原口大臣が先頭を切って走ってくれています。もともと、国が上で地域が下にある社会なんておかしいんです。私は地域のほうが主役になる日本にしていかなきゃならない、それがどう考えても、国会議員や国の官僚がいばっていて、くれてやるからありがたく思えと、中央集権の世の中は、まだ変わっていませんでした。

そこに少なくとも、風穴が開いた。かなり大きな変化が今、できつつある。これからさらに一括交付金など強く実現をはかっていけば、日本の政治は根底から変わります。地域の皆さんが、思い通りの地域を作ることができる。そんな世の中に変えていけると思います。

今すぐ、なかなか分からないかもしれません。しかし5年、10年たてば必ず、国民の皆さん、鳩山の言っていることはこういうことだったのかとわかっていただけるときが来ると確信しています。

新しい「公共」もそうです。


官が独占している今までの仕事を出来る限り、公を開くということをやろうじゃありませんか。皆さん方が主役になって、本当に国民が主役になる、そういう政治を社会を作り上げることができる。

まだ、なかなか新しい「公共」という言葉自体がなじみが薄くてよく分からんと、そう思われているかもしれません。ぜひ、今日お集まりの議員の皆さん、この思いをこれが正しいんだと。官僚が独占した社会でなく、出来る限り民が、国民の皆さんが出来ることは全部やりおおせる社会にかえていく、その力を貸して頂きたいと思います。

「東アジア共同体」の話もそうです。今すぐという話ではありません、でも必ずその時代が来るんです。

おかげさまで、3日ほど前、済州(チェジュ)島に行って、韓国の李明博大統領、中国の温家宝首相とかなりとことん話し合って参りました。東アジア、我々は一つだと。壁にwe are the one。我々は一つだと標語が掲げられていた。そういう時代を作ろうじゃありませんか。

国境を越えて、お互いに国境というものを感じなくなるような、そんな世の中を作り上げていく。そこに初めて新たな日本というものを取り戻すことができる。私はそのように思っています。国を開くこと。そのことの先に未来を開くことができる。私はそう確信しています。

ぜひ新しい民主党、新しい政権を皆様方の力によってお作りをいただきたい。その時に、今、鳩山が申していた、どうも先の話だなと思っていたことが必ず皆さんの連携の中で、よし分かった、理解をしていただける国民の気持ちになっていけると私はそう確信している。

お話が長くなりました。私は済州島に行って、あのホテルの部屋の先にテラスがありまして、そのテラスのところに一羽のムクドリが飛んで参りました。どうもそのムクドリ、我が家にいるムクドリとまったく同じでありました。


失礼、ヒヨドリであります。鳥の名前、間違えちゃいました。(会場、笑)一羽のヒヨドリが済州島のホテルに飛んで参りました。そのヒヨドリは我が家からヒヨドリかな、姿形が同じだからそのように勝手に解釈をして、この鳥も早くそろそろ戻って来いよ、そのことを招いているようにも感じた。

雨の日には雨の中を、風の日は風の中を、自然に歩けるような苦しいときには雨天の友、お互いにそのことを理解し合いながら、しかし、その先に国民の未来というものをしっかり見つめ合いながら、手を携えて、この国難とも言えるときにぜひ皆さん、耐えながら、そして国民との対話の中で新しい時代をつかみ取って行こうではありませんか。

今日はそのことを皆様方にお願い申し上げながら、大変、ふつつかな私でありましたけれども、今日まで8か月あまり、皆さんとともにその先頭に立って歩ませていただいたことに、心から感謝を申し上げながら、私からの国民の皆さん、特にお集まりの皆さん方へのメッセージとします。ご静聴ありがとうございました。

(以上鳩山退陣発言全文:終了)----------------------------------

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