今日、朝のNHK「生活ほっとモーニング」で津波に関する特集をやってまして。自分自身の知識不足もあるしと、ちょっと見てました。

そこで知ったのは「津波はバカにできない」という話でありました。
津波と波は全然違うもので、まず波はその波の一点が高いだけなわけですが、津波は高い一点から後にずーっと「高いまま」の状態が続くわけです。

で、これが町中に入ってくるときはそのスピードはパッと見は大したスピードには見えないんですが、実際上は秒速5メートルを超えるそうです。時速で言うと、約18㎞くらい。安物の自転車のちょっと早めの巡航速度という感じですので、

●人間の足ではギリギリ追いつかない速度。

なわけですね。

で、ここまで聞いても、あまり恐怖を感じないかも知れませんが、この津波は力があるので、時と場合によっては自動車などを浮かせて流してしまう可能性もあるわけです。ありとあらゆるゴミなどもドンドン流れてくる。
で、それがまた引き潮で逆戻りすることもあるわけです。
だから、かなり危険なんですよね。

それだけの水量が狭い道、あるいは湾内に入ってきたら大変なことになる場合もあるわけです。

で、それよりなにより大切なのは、

●津波は第1波より第2波の方が大きいことがある。

という部分。
ここ、大事なのは「ことがある」という部分なんですね。
「ことがある」というのは「ない場合もある」ということです。

なので、津波警報に慣れた地域の人でも、第1波が小さいと、安心してしまって、高台への避難をやめて、自宅に戻ってしまったりすることがあるって事なんですね。
実際、昔から津波に悩まされていた地域の人が、今回「第1波が来る時刻には避難したけど、大したことなかったから自宅に戻った」のです。

が、しかし、これは本当に危険なんだそうです。チリのように遠くからやってくる波というのは、太平洋のどこをどう通ってやってくるのかわからず、どんな波の形になっているかもわからないわけです。地震があったと言っても、どういう種類の地震かわからないとシミュレートして日本に届く波の形まではわからないので、いきおい「とにかく避難しておいてください」と言うしかないという部分も大きいようです。

だからやっぱり津波が来たときには、できるだけ高いところに避難しておく必要があるって事ですね。少なくとも表を出歩いたり浜辺に物見遊山で出かけたりはしてはいけない。

で、です。

実は話はここからでして、この津波がやってくるという事に関して、総務省の原口大臣がtwitterでさかんに呼びかけてたんですね。

その内容と、それにまつわる話は、以下のブログによくまとめられています。

原口大臣の津波ツイートと「マスメディア報道の可視化」
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20100303/1267573940

基本的に、なにも大臣が自らツイートしなくても、公的な役人などがまめにつぶやけば良いという話ではあるんですが、twitterは、こういう災害時にこそ役立つメディアでして、それがまだ公的な仕組みに組み込まれていないから、原口大臣自ら国民の利益を考えて自主的にツイートされたということなわけです。
twitterでは「原口大臣のツイートには、国民を思う心が現れていた。」という意見へのリツイート(つぶやきの再送信)がとても多いように、僕は感じました。

しかし、この原口大臣の行為にかみついたのが、実はマスコミだったんですね。曰く「投稿者が総務相の名をかたる、なりすましの危険があったのではないか?」という、大臣がツイートする行為そのものへの批判だったわけです。

が、しかし、これは「そんなもん起こるわけないやん」と、やっていて思うわけですよ。原口さんはもう、毎日朝起きた時に「今日は予算審議です」とかマメにつぶやいてる人で、ツイッター上での知り合いも多い。やりとりもひんぱんにされている。だから、その同じアカウントから流れてきた情報が「なりすまし」になるなんて、考えられない。

でも、この記者は原口大臣にかみついたわけです。

で、その心は、結局、

●警報情報を流すのはマスコミの既得権益じゃ!

という、権利へのしがみつき発想が、その大もとにはあるとしか思えないわけです。

いま、ツイッター上で、いちばん面白い話は、やっぱりなんといっても記者クラブ制の問題点追求なんですね。マスコミでは全然流れない情報が、ツイッターでドドドドドーと流れていて、それが「世論」をどんどん変質させていってる。

そういう状況があるから、マスコミがものすごい危機感を持ってるわけですよ。自分たちの既得権益が侵される、奪われるのではないか?と戦々恐々としているということです。

このあたりの心情を、上記のブログからもリンクされてますが、ジャーナリストの江川紹子さんが、

江川紹子ジャーナル「新聞とツイッター」
http://www.egawashoko.com/c006/000320.html

というブログでいろいろ書かれてます。
ちょっと引用します。

(引用開始)----------------------------------

 今回のような反応をみると、法廷メモを巡る問題を思い出す。
 かつて、法廷で一般傍聴人はメモをとることが許されなかった。認められているのは、司法記者クラブに所属する大手メディアの記者だけ。それに異議を申し立てたのが、アメリカ人弁護士ローレンス・レペタさん。レペタさんは日本語が流ちょうで、ちゃんとメモも日本語で取れる。日本の経済事件の研究をするために裁判傍聴をしていたが、数字などは書き留めておかなければ忘れてしまう。なのでメモを取ろうとしたら、裁判長に禁じられた。それで、法廷メモ解禁を求めて、裁判を起こしたのだ。
 1審、2審と敗訴。最高裁で争っている時、私はこの裁判を知って、支援を始めた。支援というより、レペタさんに勝ってもらわないと、私自身も困るのだ。私も以前は新聞社にいて、そういう問題があることにすら気がつかずにいたことに、とても恥ずかしい気持ちもあった。
 裁判所がメモを禁じる理由は、今思い出してみても笑ってしまう。「法定内の静けさ(判決文では難しく「静謐」という言葉を使っていたっけ)が乱される恐れがある」とか、「証人が不安を感じて正直に証言しなくなる恐れがある」とか、およそ意味のない、様々な「恐れ」を作り出していたのだった(もちろん、メモを解禁した後、そのために法定内が紙にペンを走らす音でうるさくなったり、証人尋問ができなくなったりなどという事態は起きていない)。
 当時、新聞社はメモ解禁に否定的だった。その理由を聞くと、ある知人の記者がこう言った。
「これまで自分たちだけで座っていた座布団に、誰か知らない人たちがお尻をのっけてきた、そんな感じがする」
 そして今、様々な役所の資料がインターネットを通じて直接国民に公開され、大臣会見がフリーランス記者に開放され、今回のようにツイッターによるリアルタイムの情報公開が行われ……。気づいてみたら座布団に、次々にいろんな人がお尻を載せてきて、居心地が悪い、という気分に陥っている新聞社の人たちは結構いるのではないだろうか。

(引用終了)----------------------------------

この引用で、もっとも重要なのは、

「私も以前は新聞社にいて、そういう問題があることにすら気がつかずにいたことに、とても恥ずかしい気持ちもあった。」

という独白です。

新聞社にいると、既得権益を守ろうとすること自体が「問題なのだ」という問題意識を持てなくなってしまう、ということなんですね。

ツイッターを読んでいて感じるのは、そういうマスコミ業界にいてる人たちの環境が、徐々に慣れによる汚れで、どんどんダメになっていってしまっている状況です。
その中心に「記者クラブ制」という、官僚と報道のズルズルした「官報共同体」ができてしまっているという問題です。

マスコミというと、「NHKだけは大丈夫」とか思ってしまいがちですが、今回小沢さんの報道を見ていて、「ああ、やはりNHKも、ようは官報なんだなぁ」としみじみと思って、マスメディアのダメさかげんをあらためて実感したんですよね。つまり、NHKも「マスゴミ」のひとつなのだ、ということなんです。

このあたり、記者クラブ制の問題を、フリージャーナリストの岩上安身さんが、twitterでツイートされてたのを、少し長くなりますが、ちょっとまとめて引用します。

(引用開始)--------------------------------

●ちょっと続き。たぶん、記者クラブの主催する記者会見の現状というのは、多くの方にはピンとこないと思います。分かりやすく言うと中学生の「シカト」です。徹底的な無視です。そこに僕ら、クラブ外の記者が存在しないかのようにふるまう。そんな現場で、穴をあけていくのは、すごく疲れるんですよ。

●続き。では、彼らがみんな程度の低い、幼稚な人間なのか、といえば、もちろんそんなことはない。個別に会えば、まったく違う顔を見せるでしょう。僕にも、尊敬できる、魅力的な記者の友人・知人はたくさんいます。でも、会見の場という、「情報利権」にかかわる場では、まったく別の顔になるんですよ。

●続き。「シカト」というのは、疎外されている人間に対して、憎悪の感情など抱いていない人でも、その人物と親しく話すだけで、今度は自分も疎外されてしまうという恐怖によって、広がっていきます。同じようなことです。クラブ外の記者というのは、排除の対象であり、アンタッチャブルなんです。

●続き。問題は、そうした排除の論理を徹底させている源をたどっていくと、大ボスにまでたどりつく、ということです。誰も遠慮して言いませんが、世界最大の発行部数を誇る読売新聞のトップである渡邉恒雄氏のトップダウン抜きにして、読売・日テレの、今の論調はありえない。組織として徹底しています。

●続き。昨日のシンポジウムで、安田弁護士が「権力が主力として頼みにするのは読売。読売は組織として動いている」と発言していましたが、同感です。なぜ、組織として動かせるのか。トップである渡邉氏の権力の振るい方の鍵があります。「渡邉恒雄 権力とメディア」の中の一節を引用すると…。

●続き。「渡邉は仕事でミスをした編集局幹部たちを次々と呼びつけ、自分の机の前に立たせたままで怒鳴りつけていた。(中略)『俺は才能のあるやつなんか要らん(中略)俺は社長になる。そのためには才能のある奴なんか邪魔だ。俺にとっちゃ、何でも俺の言うことに忠実に従うやつだけが優秀な社員だ」

●続き。講談社文庫版の398頁からの引用です。同様のエピソードや証言は、いくらでも収集できます。こうしたトップのもとで働く社員は、上を見上げるヒラメにならざるを得ない。逆らえば何もかも失います。記者クラブというカルテルの解体にトップが同意していなければ、現場の記者は何もできません。

●@mankin911>『俺にとっちゃ、何でも俺の言うことに忠実に従うやつだけが優秀な社員だ」
@mankin911> このメディアが小沢独裁と言うことほど滑稽なことはありません。

●@iwakamiyasumi その通り。小沢氏は選挙で落とせても、ナベツネ氏は落選させられないのです。

(引用終了)--------------------------------

ということなんですね。

これを読んでみれば、この「記者クラブ制」というものが、いかに独裁者にとって都合が良いかがよく分かります。

上の岩上安身さんのツイートの最後に書かれている一言が、我々一般国民には、もっとも重要な一言なんじゃないでしょうか。

つまり、

●小沢氏は選挙で落とせても、ナベツネ氏は落選させられないのです。

ということです。

まぁ、まだ新聞は「買わないでおく」という不買運動ができますが、官僚に至っては、生涯官僚のままです。
そして、その官僚が、あることないことを、NHKをはじめマスコミに公務員規則違反である「リーク」を垂れ流して、で、その「根拠のない誹謗中傷」で国民が選挙で選んだ国会議員を辞職させようとしたりするわけです。

これが、いま、この国に存在しているマスコミの実態なんですね。

彼らは、税金でしつらえられた国会内の記者クラブに堂々と席を持っていて(部屋代は支払っていません)で、広く国会外に出て国民の実態を取材することもなく、ただ官僚の流す「リーク」を競い合って(誇張ではなく、現在の新聞記者やテレビの記者は、官僚のリークを取る事をこそ「特ダネ」と勘違いしてるんです。まったくのバカです。)取ることこそが自分たちの仕事だと思ってるわけです。
官僚のリークを他社より早く「抜く」ことに命をかけてたりする。

ものすごい滑稽です。そういう状況は官僚の側からすれば、実にマスコミを操りやすい状況なわけですから。

同じくtwitterからの情報ですが、これまたフリージャーナリストの日垣隆さんのツイートを読んで唖然とした話。

(引用開始)----------------------------
●産経新聞の太田記者から電話。いろいろ聞かせてほしいという。「いいですよ」「ええとですね…」「実物を見て聞いたほうがいいんじゃないですか?」「あ、いや、うちは交通費出ないんです、もう」「それは取材とは言えないねえ」「伝聞でもいいです」「実物見なくて記事にできるの?」「うちでは」
(引用終了)----------------------------

と言う話。

●交通費が出ないから電話による伝聞だけで記事を書く。

これが新聞社の通常業務です。で、そんなアホなと思った他のユーザーから「本物の記者ですか?なりすましなんじゃないですか?」と聞かれて、日垣さん曰く、「他社も似たようなもんです。残念ながら本物。共同や時事や毎日も。」と答えておられる。

僕もいちおう、コピーライターという物書きをやっておりまして、いろんな機械のパンフレットを作ったりしてますが、そんな産業用の原稿だって取材しなけりゃ書ける物ではないのです。
伝聞だけで作られた、かなりええかげんな印刷物が新聞であり、映像表現がテレビのニュースである、ということなんですよ。

こんなアホな事があって良いのか?って思うんですよねぇ。
いちおう「調査報道」の流れも、いまでもちゃんと残ってはいてるとは思うんですけど、この「普段のニュースづくり」の現実を知ると、暗澹たる気持ちになりますな。

ま、おおむね、そういうことを感じた、津波とツイッターとマスコミとの話題でありました。

(こういう内容の濃い情報が日々、どんどこ流れているから、よけいにテレビや新聞よりツイッターを優先したい気持ちになっちゃうんですよね。しっかりしろよ、マスコミ!いやほんとに。)

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