上方落語に「天狗裁き」という話がありまして。

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ある夫婦がいて、旦那が寝ています。その寝顔を嫁さんが見ていると、ニヤニヤしたり寝言を言ったりする。そこで起こして「どんな夢を見ていたの?」と聞くと「いやー、夢は見ていない。」と旦那。

「なによ!言ってくれてもいいじゃないの!」と夫婦喧嘩になるんですが、同じ長屋のなじみの男が仲裁に入って、泣いてる嫁さんを自分の女房のところへ追いやり、なんとか一件落着。

男同士になって、旦那の方が「ありがとう」と礼を述べると、このなじみの男が「うむ。しかし、本当のところどんな夢を見たんだ?」と聞いてくる。
「いや、本当に夢は見ていない。」と言うと、「お前!俺とお前の仲で、そういうことを言うか!」と、これまた喧嘩になります。

しかし、ここに大家がやってきて、仲裁に入って、また一件落着するんです。が、この大家がまた「で、本当に見た夢は?」と聞いてくる。

「いや、見てまへん。」「何?大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然。そう思うからこそ情けもかけてやってるのに、夢の一つも話せんっちゅうのか!ああ、もうええ、出て行け!」と、とうとう家を追い出されかける。

そんな事で追い出されたらたまらんので、奉行所に願って出る(訴える)と、奉行が「なんと馬鹿馬鹿しい事で争うておることか」と大家を処罰。助かった主人公はほっとするんですが、そこへ、このお奉行、

「ところで、お前の見た夢というのは、どういう内容だったのじゃ?」
と聞いてくる。

「いや、見てないものは話しようがおまへん」と言うと、

「なんじゃと!大家との間を取りなしてやったわしにも言えんのか!」とお白州にある松の木に縛り上げられて吊されます。
「えらいことになったなぁ」と思っていると、一陣の風、天に舞い上がって縄がほどけている。目の前には天狗がいる。

「天下の奉行ともあろう者が、たかが町人の見た夢の話を聞きたがり、拷問にかけるとは極悪非道。あのような者に人は裁けん。」と、天狗が言う。

「わしは、そのような夢の話、聞きたくもない。が、おぬしが話したいと言うなら聞いてやっても良いぞ。」
「いやいや、わたいは何も見てまへんねん~。」
「何、天狗に逆らったものは五体をバラバラにして、杉の木に突き刺してくれるわ!」と天狗が怒り、その尖った爪が腹にグググググーっと差し込んでくる。

「わぁ~助けてくれ~」と叫ぶと、嫁に起こされたところ。

「ちょっとあんた、えらいうなされて。いったいどんな夢見てたん?」
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という話なんですがな。

いやー、いまのマスコミは、もう完全に「天狗裁き」ですなぁ。落語なら笑えるけど、現実なので笑えませんな。

で、思うのは、こういう落語が存在しているというのは、まさに日本の裁判制度が、かなりテキトーで、この落語のようなものだったからこそなんでしょうな。
そうでなければ、こういう話が生まれてきたりしませんよ。

律令時代から「お裁き」は、何も変わってない。まず「○○したはず!」という思いこみがあって、その思いこみにあわせて「しゃべらされる」という仕組みがあるわけですわ。

言わば、律令時代からずーーーーーーっと同じだってことです。

特に、この落語では「拷問」っていうのが繰り返して出てきてますわね。考えたら、こんな異常な事はない。自分の思い通りの事をしゃべらないからと、権威を盾に相手を拷問にかけようとするんですよ。奉行も天狗も。これはたまったもんやおまへんで。

で、マスコミでは全然話題にもなってませんが、今回の小沢さんの事件に際して、東京地検は、かなり悪辣な捜査をしてるんですよ。

2004年に小沢さんの秘書をしていた石川議員が逮捕されましたが(この逮捕自体が完全に不当逮捕なんですけど、まぁそれは置いといて)その石川議員の事務所にいた女性事務員が東京地検に呼び出されて10時間も休憩なし、外への連絡もほぼなしで取り調べされたわけです。

だいたいね、この女性事務員さんって、最近になって石川議員の事務所で働いてた人で、2004年には石川さんの存在自体を知らないまったくの他人なんですよね。そんな人を拘束してどうするの?意味不明です。

(いや、意味不明って事で言えば、自自公時代の10ヶ月を除いて、ずっと野党で職務権限自体がなかった小沢さんを「何かやってるに違いない」と嫌疑をかける事自体が、突拍子もない。もともと、かなり狂った判断なんですが。)

細かい事は書いてもしょうがないので書かないですけど、とにかく、ほぼ無関係としか言いようのない女性を無理矢理拘束して取り調べたのは、完全に拷問ですわ。このあたり気になる人は自分で検索してください。すぐにいろいろ情報が出てきます。週刊朝日で上杉隆さんが記事にしたりしましたし。

(この記事に対して、抗議文を地検は朝日新聞社に対して送りつけてるんですが、その中で、いろいろ「○○はやっていない事実無根だ」と否定してるんですが、肝心の「連続しての取り調べで4時間を超えてはならない」という規定違反があった、という部分に関しては一切触れず。こういう抗議文でその部分に触れていないというのは、それは「やりました」と宣言してるのと同じ事なんですが、そういう事もわかってないバカなんですよ。いやホンマに。やれやれ。)

まぁ、とにかく、いまのマスコミには、「一切でない情報」っちゅうのが多すぎますわ。twitterをやってると、そういう情報が、いくらでも、毎日のように、いろんなルートで入ってきますし、その内容に多くの人がどう感じてるのかも手に取るようにわかる。原口大臣とかも、どう動いてるかわかるし、その他のtwitter議員の話もわかります。

もうね、天狗裁きみたいな滑稽な事は終わりにして欲しいですな。で、拷問も勘弁してくれ。マスコミも同じような話ばっかり書くのはやめて欲しい。ほんまに。

いまの日本経済、そんなチンタラしたことをやってられるような状態やおまへんねんで。ちゃいまっか?
そういう気分で一杯ですわ。

お後がよろしいようで…と、行きますかどうですか。
あー、やれやれ。

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