古墳に入る。
古墳に入る。
一人暮らしをしている母が、最近どうも歩いていない様子だったので、とにかく連れ出して歩かせねばと思っておりました。

まず、歩く、というのが健康の基礎の基礎ですからね。

と、思っていたら、家の近所の歴史ある風物を、案内人が紹介しながら歩いて回るツアーというのがあると、駅貼りのポスターで出ておったので、「これは渡りに船」と参加しました。

僕が住んでいる地域というのは、けっこう古くからの歴史のある場所でして、意外な神社や地蔵堂などが、けっこう由緒あるものであったりするのですね。
もともと、全国的にも有名な神社があったりするので、昔は大変な観光地だったわけです。なので、観光名所になるような事柄がどんどん集積してきたのではないかと思われるんですね。まぁ、広島ではお好み焼きのビルができていて、ビル一棟にたくさんのお好み焼き店が同居しているお好み村があるようなものでしょう。

それに、大阪という土地がもともと、昔から都のあった土地であるということもあります。とにかく古い歴史ならてんこ盛りなわけですね。

というわけで、自宅の近所の名所旧跡の歴史やら言い伝え、故事来歴などを個人的に調べている人たちが、ボランティアで案内ツアーを企画した、というのが、このツアーでありました。

土曜日、朝の9:40分に集合して、お昼まで、えんえん2時間歩き通し。子どもの頃から見知った地域の裏路地を歩きながら、素通りしていた地域、地域の珍しい建物やら石碑やらを解説してもらうと、いや、いかに自分が何も知らずにこの土地で暮らしていたのかと驚くばかり。
良く知っている、なじみの小さな神社でも、その裏側を回った場所にこそ、由緒正しき文物があったりするということを、まったく知らなかったりするわけであります。

「へぇ~、そうやったんや!」

と、驚くばかり。

で。

今回のツアーの最大の目玉は、

●古墳巡り

というものでありまして、いつもは立ち入ることのできない古墳に、入って中を見ることができるということなのであります。

ご存じの方はご存じでしょうが、通常「古墳」と言いますと、天皇の墓ということで、宮内庁管轄でして、そう簡単に入ることは出来ません。というか、学術調査団すら入れてもらえないというとんでもない場所なのであります。

なのに、このツアーでは、その古墳に入れるという。
「ええええ?どういう事?」とか思ってたんですが、お話しを聞いてみると、古墳と言ってもいろいろで、天皇の墓ではなくて、その部下の墓であったりもするそうで。
で、そういうものは特段保護されることもなく、いつのまにか個人の土地になっていて、切り崩されて開かれ、普通の施設が建っていたりもするわけです。

で、今回歩き回った地域には、もともと大中小の3つの古墳が仲良く存在していたらしいのですが、大きな古墳はすでに小中高大の一貫教育されている、有名なお嬢様学校の敷地になっておりまして、小さな古墳も、もう跡形もありません。

しかし、中型の古墳だけは、いまもそのままの形で残っていて、今回はそこに入れるということだったわけです。
街なかに、いきなり自然の小山があるわけで、あまりにオープンにしてると、まぁそれこそゴミだらけになるか、あるいは小山の上からご近所をのぞき見るか、ろくな事にはならないですし、いつもは柵はされてるし、入り口もカギがかかっていて入ることもできません。

しかし、今回は、現在の持ち主である、この地域の保存会法人の許可を得て見学入場ができるというわけであります。

実際、僕が子どもの頃にはすでに柵もカギもされておりましたから、存在は噂に聞いていても、どこにあるのかすら良く分かっていない始末。古墳の回りはすべて住宅に取り囲まれていて、一般道に接しているのは入り口部分だけですから、そこに、それなりのサイズの古墳があるという事自体忘れ去られている、という感じなのであります。

という事で、今回はじめて古墳に入ったわけですが、まぁようするに小山。高さで言えば2階建てから3階建ての家くらい、広さで言えばちょっとしたマンションの敷地くらいのものでして、可愛らしいといえば可愛らしい、どうでもいいと言えばどうでもいい「裏山」でしかないのでありますね。

とは言うものの、前方後円墳の後円の頂上には、「天皇が来られたことがあります」という意味の石碑があって、自然も手つかずで残っていて、実に良い雰囲気。近隣の方々への配慮もあって、10~20分程度ぐるりと見て回っただけですが、なんとも言えず心落ち着く空間で、本当ならもっと長くいたいなぁと思わせる場所でした。

聞けば、日本中の樹木の標本が見渡せるというほどに多様な木々が植わっており、都市部のど真ん中だというのに、この近辺の野鳥の重要な飛来場所にもなっているということで、たったこれだけの空間であっても、残っていることの意義をしみじみと感じ入った場所ではありました。

たった半日ではありましたが、自分の住む街の印象がガラリと変わった、なかなかに有意義な体験でございました。

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コメント

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2009年11月30日13:58

 へぇ~☆
 電車でコトコト通り過ぎたことならありますが……。
 あの、こちゃこちゃした建物だらけの地域に、そんな歴史的建造物が……

 !(@@)!

どん太
2009年11月30日15:41

あ、帝塚山古墳のことだったんですね!

シゲ
2009年12月3日7:47

> 桐木りすさん
書き込みありがとうございます。レスが遅くなりました。ごめんなさい。
しかし、大阪のあたり来られた事があるんですか? しかも帝塚山のあたりまで。意外ですね。

> どん太さん
書き込みありがとうございます。こちらもレスが遅れて申し訳ありませんでした。ちょっとドタバタしてたもので。
そうなんですよ。帝塚山古墳です。
でもあんまり具体的に書いて、僕の住んでる場所がはっきりわかっちゃうのもちょっとイヤだったんでごまかし気味に書きました。別にばれて困るというほどでもないんですが、自分からどんどん明かすという必要もないという感じで。

帝塚山古墳は、大伴氏の墓とされてますが、本当のところはどうなんでしょうね。
文中にある全国的に有名な神社というのは住吉大社のことです。
なかなか面白いツアーでありましたよ。

ま、てなことで。

どん太
2009年12月3日12:56

源氏が好きで、あの辺まで行きましたよ。
さすがに古墳にはよらなかったけど。

シゲ
2009年12月3日17:26

> どん太さん
おや、どん太さんも、うちの近所まで来られたことがあるんですね。
でも、「源氏が好き」というのは、どういう流れなんでしょう?
地元の人間がわかっていないとう情けなさであります。

どん太
2009年12月3日18:19

源氏が住吉詣でをするエピソードがあるんですよ。
なので、住吉大社まではいきました。
その後すぐに須磨、明石にいっちゃいました。。。
帝塚山古墳、こんなに近いのを知らなかったです。

シゲ
2009年12月4日8:26

>どん太さん
wikiで調べました。そうか、住吉詣でなんですね。
昔は住吉詣でをするとなると、精進潔斎して行かねばならなかったから、かなり大変な行動だったみたいですね。忌み言葉を一言でも発したら、そこで中止するとか。
大阪市の市章である澪つくしも、源氏物語に出てきてたんですねぇ。そうか。住んでいながら、これほどポピュラーな世界にいてたとは知りませんでした。なるほどなるほど。良い情報、ありがとうございますです。

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