昨日は、はじめてIKEAに行ってきたのであります。

大阪の場合、IKEAは鶴浜ということになりまして。
まぁ前から気にはなってたんですが、一度は行っておかねばと思い、難波はOCATの正面玄関(西側)のシャトルバス乗り場から出発しました。

実際に行ってみると、実に広いですなー。
まずは二階の家具の展示場に行って、どんな家具があるかを確かめる。それから階下に降りて、食器やら額やらのちまちました生活小道具をチョイスしたら、巨大倉庫に出かけて組み立て家具を、それぞれの棚からピックアップするという流れになってるそうで。

でも、別に家具が欲しかったわけではなく、娯楽がてらの物見遊山だったので、一種のエンタテインメントとして楽しみました。

しかし、さすがはフィンランドの有名企業でして、どの家具を見ても木の厚みがしっかりとあって、品質はぴかいち。本が好きなので書棚などもいくつか見ましたが、棚板の厚みと左右幅のバランスなど実に良い感じ。「よーわかってるなぁ」と感じさせる製品ばかりなのでありました。

本って言うのは、けっこう重いので、木で書棚を作る場合は、木が重みでたわまないように、しっかりと計算して作らないと大変なことになっちゃうんですよね。そのあたりが実に安心。さすがは欧米の昔ながらの生活の歴史をしっかりと受け継いでるよなぁと感心するんですね。

が、しかし。

IKEAは、自分で組み立てる「組み立て家具」を全世界レベルで大量販売することでローコストで良い品を提供するというコンセプトのお店だから、いかんせん、あまりに製品が「ユニバーサル」なんですな。
日本のチマチマした、特殊事情には、実はフィットしていない。

折りたたみテーブルがあったので「良いな」と思って見てみたら、広げた天板の部分に蝶板がむきだしになる構造であったり、つっぱり棒式の家具で良い感じのものを見つけたら「つっぱり」ではなくて、天井にネジ止めする方式だったり、なんだかんだと日本の住宅事情や日本人の感性にはフィットしにくい部分がやたらと多い。

テーブルも四つ足タイプばかりで、椅子から立ち上がるためには椅子を後ろへどーんと引かねばならないタイプばかり。
日本の場合だと、リビングもそれほど広くはないから、テーブル脚は、逆T字足とか、横H字足とかの方が良いわけですよ。テーブル脚に自分の足が当たらず、スライドさせて横に出せるから。

そのほかソファだって、狭い家だと肘掛けは不便。どの方向からでもすっと座れるデザインでないと、部屋の空間活用にかなりの不便さを強いられるのでありますね。

ベッドにしてもヘッドボードがついてるものは、上記の「肘掛けが邪魔」というのと同じ理由で、あまり良いとは言えないのですよ。

ヘッドボードなんて「まくらが落ちないようにする」「背をもたれかけて座る」という役割くらいしか役に立たないのだから、壁にピタリとつけて配置すれば、せいぜい6畳程度の広さの日本の住宅の場合まぁ元々不要です。逆にヘッドボードを変な方向に配置してしまうと、ものすごく空間をふさいで生活空間や体の動きが制限されてストレスのもとになってしまうくらいです。

ということで、じっくり商品を見ていったけれど、「買ってもよいかなぁ」と思えた家具は、本当に数点あるかないか。
これなら国内の有名家具メーカーの製品から探したり、ネットショップで買った方がうんと選択の幅も広いし、なにより生活空間にフィットしますな。

ベッドもテーブルもソファも、ようは欧米の文化の受け売りで、マンションから畳の和室がなくなってきたのが、やっとここ数年という日本の市場においては、まだまだ歴史の蓄積がなくて、本当に生活実感にフィットするような良い商品が生まれていないというのが実際のところなのです。

ということで、広い広いIKEAを、ずいぶんと歩き回って、たくさん家具を見ましたが、感想としては、表題のとおり、「品質もセンスも良いが、買う物がないのがIKEAかな。」というのが正直なところなんですな。あの品質であの価格っていうのは画期的やと思うけど。

でもまぁ、おおむね、椅子はどれもこれも良かったです。どれを買ってもはずれはないかも。
椅子はIKEAで買っても良いかなぁ。
同行した友人の意見では「お店をやってる人が仕入れるには最適の商品と違う?」という事でしたが、いや、確かにその通り。

結局買ったのはレジ前にあった商品持ち帰り用の手提げ袋の一番小さい奴(59円)だけ。いやー、ものすごいローコストエンタテインメントやわ。

まぁそういうお店であります。

スポット情報

コメント

権之助
2009年11月25日0:31

あー、うまいことおっしゃいますね。さすが。
一度しか行ってませんが、同じようなことを感じました。本棚の厚みが中途半端だとか、日本家屋の造りには合わないとか。
とはいえ、ニトリの家具もあまり好きではないのですが。細かく見ていくとやはり「安普請」のところが目についたりします。私の部屋にはそれで充分なんでしょうが。

シゲ
2009年11月25日9:43

> 権之助さん
書き込みありがとうございます。
そうなんですよねー、ニトリ。あそこはすごく安いのは素晴らしいんだけど、品質もセンスもイマイチな感じなので、ほんとうに若夫婦が数年間だけ使うにはいいけど、長くは使えないよなぁって思います。

家具を買うっていうのは、モノが増えて困った、とか、いまよりゆったりした時間を持ちたいとか、そういう「問題解決」を求めているわけで、その答えになっている家具っていうのは、なかなかに難しいんですね。

問題解決っていうのは値段じゃないですから。値段も大事だけど、とにかく「最適解」が欲しいのであって、その「解」がないから困るわけです。

でも、その多くの「問題」は、別に家具にあるんじゃなくて、「和洋折衷の生活スタイルをしているウサギ小屋」の、「家」の側にあって、しかも、生活スタイルにこそ問題があるのだと、買う側が気付いていないので、いつまでたっても、最適解となる家具が「人気商品」にならないということになるんですなぁ。

だってたぶん、逆T字足のテーブルより、四つ足テーブルの方が「素敵なデザイン!」とか言って大人気だったりするわけですよ。だからそういうテーブルばっかりが売れる。ニトリのデザインっていうのは、そういう「わかっていないお客さま」志向だから、ああいう事になっちゃうんでしょうね。

「違うんや!それは単なる欧米的生活へのあこがれでしかないんや!現実は我々は日本に暮らしていて日本独自仕様の『家』に住んでるんやから、そこを考えなアカンのや!」
と思うんですが、そこをしっかり考えている人は、ほぼ皆無というような状態でしょう。

僕が、これはいいなと思ったのはベッドで言うと無印良品の足つきマットレス。あれは問題解決してます。あれは良いなぁ。
あとは、良いなぁと思える家具が本当に少なくて、結局は通販雑誌やネットの通販商品をていねいに見ていくしかないです。
で、たまに「問題解決」してる商品を見つけて買っても、通販だと品質がイマイチだったりするわけで。

まぁ「和洋折衷のウサギ小屋」ですからね。本質的問題はなかなか解決しないのでありますよ。

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