このあいだ紹介した、

●脱「ひとり勝ち」文明論
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4903908135

に、すごくおもしろい事が書いてあったんですよ。
曰く、「人類はクルマを捨てられない」と言う話なんですが。
引用します。

(引用開始)-------------------------------
実際のところ、文明は逆行できにくいものです。
「クルマ」というのは、とくに、人間が捨てにくいものです。
なぜでしょうか?
 人間は、四足歩行から二足歩行に進化することによって、ものすごくたくさんのことも獲得しましたが、二足歩行によって失ったものは何か、を考えればわかります。
 それは、「移動のスピード」です。
 これだけは、二足歩行によって喪失してしまったわけです。
 犬と競争して勝てますか?
 勝てないです。
 100メートルを九秒六九、スゴイ!とぼくたちは騒いでいますけど、動物の世界の記録は、そんなレベルではありません。
 つまり、アタマがよくなったり、道具が使えるようになったり、いいものばかりの二足歩行の中で、唯一、人間が喪失したものこそ、「移動」なのです。
 ですから、移動の道具は、人間が捨てられない大切な技術なんですね。
 クルマは、足の代わりをする道具ですが、それは、目の代わりをするテレビだとか、耳の代わりをするオーディオだとかの道具に比べて、「捨てにくい」ものです。
 渋滞などの不自由なことをクルマは引き起こすけれども、それでも、どうしても乗り続けてしまうのも、「時速四キロ」の自分の足のスピードの遅さに、耐えられないからなんです。
 これは根源的な欲求なのです。
 ですから、環境問題を考える際、クルマを規制したり、と言う方向で考えるよりも、スピードへの欲求をさらに満たしていく形で、環境の解決をしていくべきです。
 ということで「時速四00キロ」に象徴されるクルマを目指した電気自動車の開発をやってきたわけです。
(引用終了)-------------------------------

というご意見。

なるほどなぁ、確かに! と思うのですよ。
この間、テレビでやってましたが、あの動物のチータという奴は時速120キロで走りますからね。四つ足、すごいです。

人間は二足歩行に移行したことで、頭の位置が上がりまして脳みそが水平位置に来ることで、脳の容量拡大が簡単になったんですね。
だから、頭が良くなって、言葉も使えるようになったし、直立の微妙なコントロールも巨大な脳でコントロールできるようになりました。

走るために必要だった前足を、よりこまやかに脳でコントロールして「手」という、全然別目的の道具として進化させることもできたわけです。二足歩行のおかげで、人間は、ものすごく大きな恩恵を得ているわけです。

ここまでは、そうよなぁ~と、前から思ってたんですが、「代わりに失ったもの」については意識したことがありませんでしたね。

そうか、確かに「走る」という行為には向かない体になってるよなぁと、つくづく思うのです。

人間の体は、あんまり走るためには適切な構造じゃないよなぁ。実際。

脳みそを大きくするために、そっとそっと、時速4キロで歩いてきたからこそ、人類は発展してきたんだよなぁと改めて思ったのですね。

で、それと同時に思ったのが自転車の、とくにスポーツ自転車のライディングポジションのことなのです。

これが、すごく四つ足走行に似ているよなぁと。

まぁ、自転車で走っても、僕なんかだと、せいぜい40km/hです。
(最近、とうとう40km/hが出せるようになってきたのであります。スゴイ!)
チータには負けますけど、まぁ普段は25km/hくらいで走ってまして、それでもすごく気持ちよいのは、やっぱりライディングポジションが四つ足走行、つまり、太古の昔に動物として大地を走り回ってたであろう姿で、都市を駆けめぐっているからだろうなぁと思うのであります。

なんていうのか、ほんとうに自転車で走っていると気持ちが良くて、これはいったい何だろうか? と思ってたわけですが、上記の四つ足走行の話を読んで、「あ、そうか、四つ足走行への先祖返りだから楽しいんだ!」と気付いたような次第です。

なんちゅうか、すごく自然な気がするわけですね。
都市部はどこでもたいてい舗装されてますし、二足で走るランニングには、振動やら腰への負担やらで、向かない環境です。でも自転車だとショックがない。まさにチータが走っている感覚と似たような自然な体の動きで移動できるわけで、実に気持ちが良いわけです。

そのテレビでは、チータの動きをハイスピードカメラで撮影してたんですけど、120km/hで走ってても、アタマと体の高さはずっと一定なんですよね。上下に移動していないわけです。
四つの足で、体全体をクッションのように支えながら、120km/hで走ってるわけでして、「いやー、これはすごいなー」と改めて思ったのであります。

自転車のライディングポジションは、まさにそういう四つ足走行への自然回帰だよなぁと実感しているわけであります。

ま、電気自動車は電気自動車でこれから発展していかないといけないものだとは思うのですが、道路の面積というのはもともと限界があるので、あんまり都市部でクルマを増やしても渋滞するだけよなぁと言うのがあって、全面的に、この著者の清水浩さんの意見を支持してるわけでもないんですが、それでも、「人類は二足歩行で高速移動するメリットを失ったのだ」という視点にはハッとさせられました。

しかし、それを言うなら、やっぱりクルマより自転車ですぜ。旦那。ちょっと自転車の事も考えてやっておくんなせぇ! という気はする。

自転車で四つ足の動物のように、都市を走り回ろう!
楽しいですぞ。

コメント

りいふ
りいふ
2009年7月12日14:08

今日の日記も、ほうほう!!!と納得でした。すっごく面白かったです。
自転車に乗ってて気持ちいいと思う理由はそこにあったのかー。
こういうものの考え方ができるって素晴らしいですね^^

シゲ
2009年7月13日7:21

>りいふさん
思うに、人間って、かなり特殊な体の構造をしてるんだよなって事です。動物で四つ足って多いですもんね。で、どれもこれも実に早く走る。
あ、銃というのも、その「移動」に対抗するために発明したのかもですねぇ。うーん。戦争がどうのこうのという以前に、そういう部分で他の動物との大きな差を埋める事が先決だったという気がします。剣や盾なんかもそうでしょうね、やっぱし。そういう見方の方が自然なんでしょう。きっと。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索