東大合格生のノートはかならず美しい
■予備校に行くのではなく、授業をちゃんとノートすることが人生では大切だ。

今日は、

東大合格生のノートはかならず美しい
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4163706208

という本のご紹介。
オビに「偏差値50アップ」「塾はいらない」「ノートさえあれば」と、刺激的な見出しが踊ってますが、まぁ、実際そうだよなぁと思わせる内容であります。

とにかく、この本はいろいろな意味で衝撃的でした。勉強法につながるような本ですが、カラー写真満載で、実際のノートの実例がいくつも出てくるんです。それがすごかった。

著者の太田あやさんは、「進研ゼミ」の編集者からフリーになった方で、東大生のノートを見て、その美しさに驚き、同じように東大生の使っていたノートを集め続けてみたら、どれもがとても美しくてびっくりした、ということらしいんですね。で、その結果をまとめた本なわけです。集めたノート、200冊。表紙の折り返しにその集められたノートの表紙写真がずらりと並んでいます。

で、本の中身も、そのノートの中身の紹介でして、どれもこれも、実に美しく整理されているのです。章や節の良く分かる構造。見開き単位での合理的なフォーマットの作り方。読み直しながら書き込みできるように余白を取ったゆとりの書き方。

どれもこれも、ああ、そうか、頭の良い人というのは、頭の中身がこういう具合に合理的に整理されているのだなぁと感じさせる内容です。

とにかく写真で実物を見せているので、実に強力なインパクトがあります。ぜひご一読ください。

この本を見るだけで、仕事でのメモやノートの取り方が大きく変わると思いますし、この本で紹介されているテクニックを応用したノート取りを続けていくだけで、半年後、1年後に、自分の頭の中身が、必ず変わると実感できる内容です。
当然、受験期の学生にも効果があると思いますから、どんどん見た方が良いです。

が、しかしまぁ、大人の方が、この効果の高さはわかるかもなぁ。

いや、というのは、しかし、アマゾンでのこの本の評価なんです。もう、本当にやっかみだらけなんですよ。やっぱり東大ってのはそういうものなんですねぇ。東大受験して失敗したような人がグチグチ文句ばっかり言ってるっていうのばっかり。

そういう人たちには、「いやいや、あなた、やっぱりノート取りは大事ですよ。社会に出てから、やっと気付きましたよ、私は。あなたがた、それに失敗したから東大受験に失敗したんですよ。で、いまだにノートの取り方の重要性に気付いてないから、そういうやっかみしか言えないんですよ。」と私は言いたいのです。

なんせ、僕なんかは、芸大とかに進んだ人間で、受験自体をパスしたような人だから、そういうブランドに対する偏見はなくて、なにより、ライター稼業をしているので、現実の社会において「取材メモ=ノートテイキング」というテクニックが、いかに重要かを知ってるから、このノートの実例たちに圧倒される、という事なんですね。

で、たぶん、そっちの方がかなり重要な情報でしょう。
東大がうんとかすんとかどうでも良いですよ。

単純な話、やっぱり仕事が良くできる人は、どんどんメモを取っているんですよね。やり方はいろいろだろうけど、見てる限りはやっぱりメモを取るというのは生きる基本とすら言えます。

まえに、映画「ラストサムライ」の中で、インディアン文化を学んだ上で、インディアン文化殲滅に動き、それを悔やみながらも、また日本文化を学びながら、今度はサムライの心を大切にしようとする米国人、トム・クルーズ演ずる主人公ネイサン・オールグレンが、とにかく一冊の手帳を手にしていて、いろいろメモするシーンが出てくるんですね。文化研究としてのノートテイキング。

異文化研究のためには、こういう野帳とか、まぁKJ法もそうですけど、具体的事実をどんどん記帳していって、後から整理していくという過程がどうしても必要なわけですよ。だから、「知らない事を知る」ためには、ノートテイキングは絶対なわけです。そう言うことが象徴的に描かれていて、「ラストサムライ」は、あんまり良い映画とは思わなかったけど、僕にとっては印象的だったんです。あのノートが。

だから、そういう「メモを取る」「ノートを取る」というような基本部分こそが、本当に、国を超え、時代を超えて役立つテクニックでありまして、この本は、まさにそういう基本をズシンとした重みで伝えてくれる良書だなと僕は思うのです。
勉強してない人は、まずこれを立ち読みでいいから見るべきだと思うのです。いやほんとに。

というのは、まぁ確かに、この本は、受験にも役立つだろうし、この本自体ある程度受験市場を見て構成されてるとは思うのですけど、正直言って、このノート群の美しさは、一朝一夕に生まれるものではないと思うんですよ。

小学校の時から物事を整理して考える習慣と、それをつねに紙に書き付けることで、頭の「外部脳」としてノートを使う、という考え方と実際に試して試行錯誤した経験がないと、この美しさは無理だろうなぁ、って思うのです。

実際、この本で紹介されてるノートは、本当にすごく「美しい」んです。
それは別に色を使ってるとか(使ってるノートも多いけど)、図がきれいだとか(手描きですごくきれいな図が描いてあったり、コピーして貼ってあったりするけど)という事ではなくて、なによりも、

●再読したときに見やすいフォーマットを持っている。

という事なんですね。

つまり、再読する必要性を心の底から、体の芯からわかっている人間の取っているノートなんだって事なんです。
それをわかってるからこそ、授業を受けている最中に、「再読するためのノート」をすばやく美しく書くテクニックを身につけてるって事ですね。

それは、つまりは、

●人間は忘れる。

という事を、嫌というほど痛感している、という事です。
で、そしてそれを克服するためには、

●繰り返し覚える以外に道はない

と言うことも分ってる、ということですね。

だから、これだけの美しいノートが取れる。

という事は、それだけ「メモやノートを取らずに復習できず、忘れてしまった苦い経験をキチンと持っている」という事につながるんです。だから、それは小学校からの積み重ねだよなぁって思う。
そこがわかってなければ、これだけ美しい文字で、ていねいにノートを取る、なんて事は絶対にできません。

ほんと、繰り返すしかないんだから。学習なんて。
それ以外に道はない。
だから時間がかかるのよ。
東大へ行くような人間は、それを子供の頃からやってるって事です。

高校になってから、あわてて学習塾とか予備校とか、そういう選択を考えている段階で、実はアウトなんだよなぁっていうのを、ノートの現物という圧倒的な証拠で綴ってくれている、という本なのであります。

だから、このズシリとした重さを、立ち読みで良いから見ましょう!と僕は言いたいわけです。

実は私、この数年で、メモ取りの作業がどんどんアナログ化してきていまして、やたらと紙のノートの数が増えてるんですね。

最初は、仕事でのメモを、それまでは仕事ごとに茶封筒を作って、そこにメモを一緒に入れるというようなやり方をしてたんですけど、それをやめて一冊のノートにずっと書いていくというやり方に変えたわけです。で、それを繰り返し見るようにし始めたんですね。
そしたら、これが実に良いのです。いろんな意味でトータルに良い。仕事のスケジュールやポイントがいつも頭に入っているし、思いついた事を書き加えて、原稿書きにつなげるスピードが上がったりと、とにかく効率がすごく良いのです。

なので、最近はあんまりノートパソコンを持ち歩かなくなってきてしまったくらいで。

で、逆にノートの数がすごく増えてるんですね。
いまつけてるノートは、

●仕事用ノート(モレスキンA5サイズ?)
●思考・発想用ノート(B6ダブルリングノート)
●日記(B6ダブルリングノート)
●手帳(マンダラ手帳)
●アイデァ展開用メモ(マンダラフォーマットメモ帳)
●内面心理記録ノート(手帳に挟み込み:ハンディピック)
●英語用ノート(B6ダブルリングノート)
●夢の記録帳(B6ダブルリングノート)
●胸ポケット専用思いつきメモ(名刺サイズ:ロルバーン)
●各種記録用紙(A4クリアファイルにA4用紙を保管)

と、10種類もあるんです。
でも、これが意外に破綻しないんですねぇ。それぞれに役目もフォーマットも全部違うから。ちょうど、学校に行ってた頃、英語と国語と歴史とでノートが違ってたような感じです。全然ごちゃまぜにならないんですよね。
だいたい、ノートによっては5日に一度くらいしか書かないものも多いし、毎日つけるけど、先にエクセルとかでフォーマットを作っておいて、そこに記帳するだけだから5秒で済むというのもありますからね。

ノートを開いた段階で、すぐ一覧ができて、すぐ書き込める。しかもテーマごとに分かれてるから、最初から整理されてるのと同じ。置き場所などでテーマが違うとかもあるし(日記は寝床ですし、手帳はカバンの中ですからね。)パソコンよりはるかに便利です。

パソコンみたいに、停電で困るとか、そういうのがないし。

だから、紙のノートって大事なんだよなぁって、最近はつくづく思うのでありますよ。
ほんとに。

だから「東大ノート」に感激したって部分も大きいんですよねぇ。

あー、なんかちょっと趣味の文具の話に流れてしまったので、この話はここまでにします。
ではでは。

関連記事--------------------------------------
■抜き差し簡単なリングノート:ツイストリング・ノート(LIHIT LAB)
http://hitoyomi.diarynote.jp/200903181525509768

■ノートは再読することが大事。(書評:脳を「見える化」する思考ノート)
http://hitoyomi.diarynote.jp/200811041235101488/

■モレスキン・リングノート・普通のノートなど、綴じノートには、最初にページ番号を打つと良い。
http://hitoyomi.diarynote.jp/200907171059448704/



コメント

どん太
2008年10月28日14:22

私ノートなんか取らなかったけどなあ。。。
当時。

権之助
2008年10月29日1:27

マンダラ手帳使ってるんですか。今泉さんのマンダラ手帳ですか?

SDはお役御免ですか?

シゲ
2008年10月29日6:47

> どん太さん

あー、そういえば、どん太さん、赤門ご出身でしたよねー。
でも、ノートを取らなくて良かったってのは、単にどん太さんが頭良かっただけでしょ(笑)。才能のある人は、私の文章では対象外です(^^)。

普通の人が効率的に学ぼうと思ったら、こういう「美しいノート」こそが、実は効果が高い、って話だと僕は思ってます。ご学友はみなさん、受験期にキチンとノート取ってらしたんじゃないですか? 一度お確かめください。
「普通の人が効率的に学ぶ」って考え方は、でも、すごく東大的だと思いますよ。京大とかだと、いかに独創的に考えるか? こそが問われるようですし。

あとはあれですねー。AC。(笑)
ACは親子関係のサバイバルのために必死で勉強するスタイルが身に付いてしまってるとかありますからねぇ。それでどん太さんは、超効率良かったのでは?
そうだとしたら、ACであることを受験産業に売り込める!(笑)
ははは。

シゲ
2008年10月29日6:48

> gonzagaさん

すみません。そうなんです。SDはもう随分前にお役ご免になってます。
手帳のホームページなんかをやってしまった関係上、「デジタルな手帳」ということにも興味を持ってしまって、一時期palmを使ってたんですよ。そこから、SDは使わなくなってしまったんですねぇ。

でも、palmもSONYが撤退してしまってサポートが弱いし、紙の手帳に戻ったんですが、その時にいろいろ試してみて、「マンダラ手帳」にしました。
SDユーザーなら、今泉さんのマンダラって事なんですけど、僕が使ってるのは、全然別の「マンダラ手帳」です。

詳しくはこちら。
http://www.myhou.co.jp/

僕はいまいち今泉さんのアプローチって未整理で好きじゃないんですよ。
この松村さんのマンダラは、マンダラのフォーマットを実にうまく「手帳」の実用性に落とし込んであるのが良いんです。的確です。

で、最近流行のバーチカルな週間スケジュール表とかは、時間が一直線で、欧米のキリスト教徒には使いやすいのかもしれませんが、和=輪の日本人には、「だいたい一週間で、なんとかする」という感じの緩やかなマンダラのフォーマットが適切な気がします。

一直線フォーマットだと、週の予定を立てても月曜にやるつもりだったことが一日ずれただけで、全部の予定を書き直すという手間が発生するか、そうでなければ、「どんどん週のお尻にずれ込んでいる!」というストレスと戦いながら実行しなくちゃいけないんですね。

でも、目標を真ん中に書いて、その周りを一週間のコマが回っていると、全曜日が目標ブロックと接していて、「遅れてる」というイメージにならないんですよ。
ここがすごく良いんです。無意味に自分を責めなくて済む。

このマンダラ手帳は30年くらい前から存在してたらしいんですが、僕は2年ほど前にはじめて知りまして、「おお!これは良い!」と思って飛びついたんです。
まぁ、ちょっとクセがあるので、誰にでもお勧めできる手帳じゃないですけど、僕は基本的には好きです。
来年も、この手帳を使うことに決めてます。

どん太
2008年10月29日14:59

中学~高校1年くらいまでは、ノートとってたんですよ。
下書き用のノートと、まとめ用のノート作ってました。

でも、日本史世界史が大量に覚えることあるんで、高2からノート取ってるひま、なくなったんですね。
ぶあつい参考書を、はじめからさいごまで覚える。
丸おぼえ。
足りない情報は、参考書に直に書き込む。

参考書はなかなか整理されてるので、そのまま覚えるので支障ないし。

CS発症前は、これ(本1冊まるおぼえ)でいけたんですが、いまはこの「力業の丸おぼえ」ができなくなって、すっかり意気消沈です。。。


シゲ
2008年10月29日17:32

> どん太さん

ほらぁ、ノートテイキングやってるじゃないですか、どん太さん自身(笑)
それも下書き用ノート+まとめノートなんて、完全に王道完璧パターンじゃないですか。かなわんなぁ、もう。
優れてる人はそういう事をやるわけですよ。
で、入試科目が多いから「参考書をノートにする」という究極技を使って、時間短縮してたわけですよね? 全部覚えたんですか? すごいなぁ。

「力業の丸おぼえ」が難しいのなら、「軽い負荷で何回も回す」って奴をやってみたらいかがですか? 簡単に言うと覚える作業をできるだけ省いて、チェックだけを何度も何度も繰り返すんだそうです。ようは復習の回数を異様に増やすって事らしいですが。覚えようとはしないんですね。チェックだけ何度もやる。いくらなんでも何回も何回も見たらいやでも覚えるという、そういう単純なやりかたなんですが、けっこう効果高いらしいですよ。

どん太
2008年10月31日12:58

なるほど!
チェックのみがんがん繰り返す、ということですね。
頭が回らなくなった自分にアジャストしないと行けないのに、どうもできてないわたし。。。
やってみます。
ありがとうございます。

シゲ
2008年10月31日13:37

>どん太さん

そうです、そうです。たとえば、英単語を1200語覚えようと思ったら、まずとにかく一日に100単語ずつ「チェック」します。で、知ってるかどうかを単語の横に印をつけるんです。そしたらチェックだけで12間で終わりますよね?
そしたら次は知ってる単語は軽く流す程度で一日150単語「チェック」するんです。そしたらこれは8日で済みます。
で、次は200単語を6日、400単語を3日、600単語を2日という具合にどんどんチェックのスピードを早くしていって、最低でも5回くらい回すんです。
実際英単語はこの方法で基本的なものは覚えましたけど、かなり効果高いと思いますよ。一ヶ月しか時間をかけてないのに、こうやって覚えた単語をいまだに7割から8割は覚えてますから。(また復習しないといけないなー)

同じようなやり方で、参考書を単元ごとに「チェック」するとかしたら、短時間でかなり頭に入ると思いますよ。ようは「繰り返せば良い」というだけの話なんですが、繰り返し方をシステムにするんですね。上で書いた「チェック」は物理的に何らかの印を本に書き加えるってことです。正の字でもいいし、自分で得意と不得意がわかるやり方ならなんでもいいから書き込んでおくんです。一ヶ月後にその参考書をパラパラとめくったら自分の苦手項目だけが一瞬で把握できて、即復習できる、というように目印をつけるってことですね。

これは本当にかなり良いですよ。
僕が単語を覚えた簡単単語集はいまだに手元に置いてますが、復習するなら、まずこの単語集からですからね。なんせ自分の苦手単語が全部わかるわけですから。だいたい苦手単語から忘れてます。(笑)
いろいろ勉強法の本も読みましたが、単語学習には、これが一番効果的だと思いますし、ほかの事にも、この「軽い負荷で何度も回す」というのは効果高いだろうなぁと想像してます。

がんばってくださいまし。

どん太
2008年10月31日17:01

なるほどなるほど。。。

軽い負荷で、というのもポイントですね。
ありがとうございます!

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