田んぼの生き物図鑑 (ヤマケイ情報箱)
2007年12月23日 読書
ISBN:4635062597 単行本 内山 りゅう 山と溪谷社 2005/07 ¥3,360
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4635062597/249-9767057-8485143
またmixiからの転載。最近こればっかしですな。
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毎月読んだ本を紹介してますが、考えたら、この素晴らしい本を紹介してなかったので、紹介しておきます。
田んぼの生き物図鑑(内山りゅう)
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4635062597/249-9767057-8485143
写真家の内山りゅうさんが撮影された、日本の「田んぼ」を中心とした生き物(植物も含みます)の写真図鑑です。
図鑑なので、机の上に置いて、ときおりパラパラと眺めるというような読み方しかしてなくて「読了」したわけではないので「今月読んだ本」には入れてなかったんですが、まぁほんとに素晴らしい本であります。
田んぼというのは、春から収穫のある秋までは水を張ってお米を育てていますが、晩秋から冬にかけては水を抜いた更地になります。
お正月の凧揚げなどというのは、まさにそういう更地になった田んぼなどでやるもので、風物詩というものはちゃんと背景のありますし、僕自身、子供の頃に母方の田舎で水の抜かれた田んぼで走り回った記憶があります。
しかし、この水が張ってあったりなかったりする、という環境があることによって、生き物の生態系は大きくごろっと変るわけですね。端的に言うと、水がしばらくなくても生き残れるような生き物だけが残る。そういう人間との関わりの中で自然が変化していって、日本の田園風景は形作られてきたのだ、という事がとても良く分かる一冊です。
自然、自然と言いますが、人間も自然のひとつであり、そこには自然への「関わり方」というものがあります。何らかの形で影響を与えずにはおれないわけです。
この本には外来種がどのように自然環境に影響していくのか? という事についてもいろいろ豊富に書かれていて、それもまた面白い点です。
外来種の影響など、人間の関わりがなくて生まれる事はないので、このあたり、本当に慎重にして欲しいなぁと僕は思います。
ともあれ、田んぼというのは、人間が自然に積極的に関わってきて生まれている小宇宙なのだなぁという事がとても良く分かる一冊で、大変お勧めであります。
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ちなみに、なんでこの本を知ったのか? というと、実はお仕事で、この作者の内山りゅうさんのインタビューをしたからなんですね。
もう、ちょうど一年前になりますが、内山さんのお宅におうかがいして、いろいろお話しをさせていただいたのです。
もともと内山さんは水中写真家という肩書きを持っておられるのですが、水中は水中でも「海」ではなく「川」。淡水専門で潜っておられるカメラマンで、実はそういうカメラマンというのは、とても珍しいのだそうです。
内山さんいわく、日本ほど川の水が綺麗な国も珍しいのだそうで、外国では川の水をそのまま飲める国なんてほとんどないのだそうです。内山さんは、海外へでかけての撮影もたくさんされていて、その日本独自の河川の美しさに気付かれたのだそうです。
日本でも、いまでは川の水をそのまま飲むなんて考えられないですけど、本の数十年前までは、そういう川が当たり前だったのだからちょっと考えさせられます。
最近落語に興味が湧いてきてるので、過去の大阪についてもいろいろ読んだりするのですが、大阪はもともと埋め立て地で、井戸が出にくい。だから水壷を各家庭において水を買ってたらしいのですが、それをどこで汲んできたかと言うと、上流の水ほど値段が高くてけっこう山に近い場所からくみ出してたようですが、一番安いところでは、長堀で汲んだ水を道頓堀で売るというような事もあったらしいのですね。歩いて15分の距離ですよ!
そういう水と親しんでいた環境というのが、自分の祖父とか曾祖父の時代にはキチンとあったのだから、ちょっとちゃんと考えないといけないなと思います。ちゃんと戻さないとなぁ。
内山さんは、淡水の水中写真家として、良い仕事がしたいからと、東京から和歌山の白浜にある和歌山空港のそばに移り住まれておられるんですね。和歌山にはまだまだ自然の残った川や田んぼがたくさんあるので、それを撮影したい、という事なんだそうです。
和歌山空港のそばなら出版社などのある東京へもすっと行けると言うことで、生活と仕事の拠点としてうまく機能しているご様子でした。家の中に水槽がたくさんあって、それもまた圧巻だったのです。
ずっとすごい人が世の中にはいてるよなぁと感心してたのですけれど、肝心のご著書を読んでなかったので、まずはやっぱりこの本だろうと思って買って読んでみたら圧倒された、というような事であります。
自分の興味を活かして、世の中の役に立つことをしていくという生き方の部分でもとても良い刺激を受けた方です。
こうありたいな、と思って、そっちの方に動いていこうとすると言うこと。それがとても大切だなぁと思うのですね。
で、しかもそれは、やってて楽しいって事なんですね。そのやってて楽しいを仕事にしていて、それで世の中との関わり、影響というものが成り立っている。そういうところが素晴らしいなぁと思うのであります。
そういう方向に生きていきたいと思います。
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4635062597/249-9767057-8485143
またmixiからの転載。最近こればっかしですな。
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毎月読んだ本を紹介してますが、考えたら、この素晴らしい本を紹介してなかったので、紹介しておきます。
田んぼの生き物図鑑(内山りゅう)
http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22/detail/4635062597/249-9767057-8485143
写真家の内山りゅうさんが撮影された、日本の「田んぼ」を中心とした生き物(植物も含みます)の写真図鑑です。
図鑑なので、机の上に置いて、ときおりパラパラと眺めるというような読み方しかしてなくて「読了」したわけではないので「今月読んだ本」には入れてなかったんですが、まぁほんとに素晴らしい本であります。
田んぼというのは、春から収穫のある秋までは水を張ってお米を育てていますが、晩秋から冬にかけては水を抜いた更地になります。
お正月の凧揚げなどというのは、まさにそういう更地になった田んぼなどでやるもので、風物詩というものはちゃんと背景のありますし、僕自身、子供の頃に母方の田舎で水の抜かれた田んぼで走り回った記憶があります。
しかし、この水が張ってあったりなかったりする、という環境があることによって、生き物の生態系は大きくごろっと変るわけですね。端的に言うと、水がしばらくなくても生き残れるような生き物だけが残る。そういう人間との関わりの中で自然が変化していって、日本の田園風景は形作られてきたのだ、という事がとても良く分かる一冊です。
自然、自然と言いますが、人間も自然のひとつであり、そこには自然への「関わり方」というものがあります。何らかの形で影響を与えずにはおれないわけです。
この本には外来種がどのように自然環境に影響していくのか? という事についてもいろいろ豊富に書かれていて、それもまた面白い点です。
外来種の影響など、人間の関わりがなくて生まれる事はないので、このあたり、本当に慎重にして欲しいなぁと僕は思います。
ともあれ、田んぼというのは、人間が自然に積極的に関わってきて生まれている小宇宙なのだなぁという事がとても良く分かる一冊で、大変お勧めであります。
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ちなみに、なんでこの本を知ったのか? というと、実はお仕事で、この作者の内山りゅうさんのインタビューをしたからなんですね。
もう、ちょうど一年前になりますが、内山さんのお宅におうかがいして、いろいろお話しをさせていただいたのです。
もともと内山さんは水中写真家という肩書きを持っておられるのですが、水中は水中でも「海」ではなく「川」。淡水専門で潜っておられるカメラマンで、実はそういうカメラマンというのは、とても珍しいのだそうです。
内山さんいわく、日本ほど川の水が綺麗な国も珍しいのだそうで、外国では川の水をそのまま飲める国なんてほとんどないのだそうです。内山さんは、海外へでかけての撮影もたくさんされていて、その日本独自の河川の美しさに気付かれたのだそうです。
日本でも、いまでは川の水をそのまま飲むなんて考えられないですけど、本の数十年前までは、そういう川が当たり前だったのだからちょっと考えさせられます。
最近落語に興味が湧いてきてるので、過去の大阪についてもいろいろ読んだりするのですが、大阪はもともと埋め立て地で、井戸が出にくい。だから水壷を各家庭において水を買ってたらしいのですが、それをどこで汲んできたかと言うと、上流の水ほど値段が高くてけっこう山に近い場所からくみ出してたようですが、一番安いところでは、長堀で汲んだ水を道頓堀で売るというような事もあったらしいのですね。歩いて15分の距離ですよ!
そういう水と親しんでいた環境というのが、自分の祖父とか曾祖父の時代にはキチンとあったのだから、ちょっとちゃんと考えないといけないなと思います。ちゃんと戻さないとなぁ。
内山さんは、淡水の水中写真家として、良い仕事がしたいからと、東京から和歌山の白浜にある和歌山空港のそばに移り住まれておられるんですね。和歌山にはまだまだ自然の残った川や田んぼがたくさんあるので、それを撮影したい、という事なんだそうです。
和歌山空港のそばなら出版社などのある東京へもすっと行けると言うことで、生活と仕事の拠点としてうまく機能しているご様子でした。家の中に水槽がたくさんあって、それもまた圧巻だったのです。
ずっとすごい人が世の中にはいてるよなぁと感心してたのですけれど、肝心のご著書を読んでなかったので、まずはやっぱりこの本だろうと思って買って読んでみたら圧倒された、というような事であります。
自分の興味を活かして、世の中の役に立つことをしていくという生き方の部分でもとても良い刺激を受けた方です。
こうありたいな、と思って、そっちの方に動いていこうとすると言うこと。それがとても大切だなぁと思うのですね。
で、しかもそれは、やってて楽しいって事なんですね。そのやってて楽しいを仕事にしていて、それで世の中との関わり、影響というものが成り立っている。そういうところが素晴らしいなぁと思うのであります。
そういう方向に生きていきたいと思います。
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