日本人のための憲法原論
2007年2月13日 読書
ISBN:4797671459 単行本 小室 直樹 集英社インターナショナル ¥1,890
------------------------
ふっと、このロングセラーというか、非常に評判の良い、素晴らしい書籍のことを、キチンと紹介したくなったので、書いてみたいと思います。
この本は、数年前に「痛快!憲法学」というタイトルで発売された書籍の愛蔵版で内容は全く同じ。
小室直樹さんの憲法に関する基礎知識を欧米の歴史とともに解説していて、「編集者シマジ」という無知なる対談相手を生徒役に、授業のような形式で書かれている書籍であります。
痛快!憲法学
http://www.amazon.co.jp/%E6%86%B2%E6%B3%95%E5%AD%A6-Amazing-Study-Constitution-Democracy/dp/4797670312
読みやすく、わかりやすく、日本人が学ぶべき欧米の文化と歴史を説明した上で、その文化体系の上に成り立っている「憲法」というものを、あくまで学問的立場から、過不足無く解説している書籍です。
僕はこの本を、現代ビジネスマンが通読するべき書籍のNo1として推薦したいのですね。
この10年、いろいろな本を読んで勉強してきたわけですが、その10年の中でもっとも役に立った、ベスト1を選べ、と言われたときに、この本を選ぶ事になるよなぁ、ということなんです。
こういう想いは、別に僕だけのものではなくて、アマゾンでの評価を見ても、この本、(特に元になった「痛快!憲法学」の方の評価ですが。)誰もが☆五つの最高評価をしています。
それだけの価値はある本だと言えるでしょう。
で、その「痛快!憲法学」が素晴らしかったので、この「日本人のための憲法原論」が出たときは、一瞬続編か?と思ったのですが、なんのことはない、「痛快!憲法学」が内容が素晴らしかった割に、ムック風のあざとい装丁だったので(なんせ集英社だったから、表紙は江口寿司の描く女性イラストだったし、中面には北斗の拳のケンシロウがバンバンに出ているというキワもの的装丁だったのです。)それを改めて、きちんとした普通の単行本の形に直した、というだけだったのですね。
ようするに装丁と判型が変わっただけで、内容はそのまま、という事なんですが、逆に言えば、それだけ内容が良い、という事でもあります。
小室直樹という人はアメリカに留学して、あらゆる学問を学んで日本に帰ってきて、東大の学長候補とまで言われたのだけれど、結局は学者としてこういう書籍を書いて糊口を稼ぐ在野の知識人として生きる道を選んだ人です。
まぁ、そういう長になるような権力闘争に向いてなかったんでしょうね、純粋に学者なんだな、という評価が多いようです。
しかし、在野の知識人とはいえ、この多くの人がまともに書籍を読まなくなってしまった日本の書籍界で、ずっと本を書くだけで生きてきた人ですから、その内容の深さ、確かさは折り紙付きです。
で、数ある小室本の中でも、この「痛快!憲法学」は出色の出来。最高傑作と言っても良いほどの内容なのです。
このあたりの事は、小室先生の少々ウケを狙ったあざとい表現の仕方(出版界で生きて行くには、多少のフカシも必要ですからなぁ)に批判的な人達ですら、この本に関してはナンクセをつけてないんですね。
そのくらい内容の良い本だ、という事です。
アマゾンの評価をていねいに読んでいくとわかりますが、この本に対して低い評価をしてる人というのは、相当、かなり、よっぽどの知識の持ち主なんです。
この本の内容を批判しようとしたら、そりゃもう、この本と同等の厚みのある古今東西の名著を読み調べした上でないと批判ができない。(でも、それを実際にやってる人がいてたりします。すごいね、世の中というのは。まさに上には上がいる。あ、すごくトンチンカンな評価をして☆一つとか書いてる人もいてますが、ちょっと恥ずかしいですね。下には下がいるということか。)
ともあれ、ごく普通の一般的な日本人なら、まぁそこまで深い知識は必要ないので、とりあえずこの本を読んでおけば、世界的な歴史的名著10冊分くらいの知識を、コンパクトに短時間に学べるというような本なわけです。
最初の「痛快憲法学」が出たのが2001年の4月。読んですぐに僕は「すごい!」と思ってたわけですが、世間的にどうなのかがわからない。でも、とにかくもう、本当にすごいと感心したのでありました。
そうこうしているうちに、アマゾンを見てみれば、この6年でレビューが36本ついていて、平均評価が☆5個中4.5。
ものすごい高さです。
この一冊に感激した人が、やっぱりそれだけはいた、ということですね。
読みやすくて、面白くて、それでいてタメになる。
しかも、こういう愛蔵版まで出るほどに評価が上がってきた、という事なわけです。
小室先生のご著書というと、この本以外の数多くの本は、僕が知る限りでは「中小企業の社長」というような人が、相互に教えあって「読め」「読め」とやっているというのが、一番印象的です。
中小企業の社長というのは、あまり実利のない読書というのはやってるヒマがありません。経営とか資金繰りとか、やらないといけない事が山のようにあるからです。
しかし、そういう人達の多くは、国内市場だけでなく、海外市場にも手を伸ばして、自社の展開を世界に広げなくてはならず、そう言うときに「世界の常識」を、とにかく手軽に簡単に素速く手に入れることが必要なわけですね。
で、そういう世界の常識を入手するための羅針盤として、小室先生のご著書が、とても役立つということなわけです。
法律の仕組みにせよ、学問の体系にせよ、日本国内にあるものは、その多くが海外の「真似っこ」であって、正しく真似るならまだしも、気分・雰囲気だけを真似ていて、その本質を何も学ばないまま日常を過ごしている、というのが我々一般人の姿なので、国内学問だけやっていても、ちーとも役に立たないわけです。
中小企業の社長なんかは、海外の海千山千のビジネスマンとも対等に丁々発止の交渉をすることが必要ですから、そういう場で小室先生のさまざまな著書が好んで読まれている、という事でもあるわけです。
それはつまり、小室先生が書いておられる内容が、世界の法体系であったり、文化であったりを、特段誇張することもなく、ストレートにわかりやすく、歴史や基本概念から解説していて、ウソ・間違いが少ないという事の証しでもあります。実際にそういう交渉や相互理解のために大きく大きく役立つからこそ、社長同士の間で「読め」「読んだか?」という声がかけられるわけですね。
実は、このあたりの社長たちの事情というのは、僕は知らなかったのですが、知り合いのコピーライターが一人いまして、その男に僕は、会うたびに「小室直樹はすごい。読むべきだよ」とずっと言ってたんですが、全然そいつは読まなくて、で、その男が、ある中小企業の社長ばかりが集まる勉強会に定期的に参加するようになってから、それらの社長さんから「君、小室直樹くらい読んでおかないとアカンよ。」と手渡されたという話を聞いて、はじめて知った、というような事なんですけどね。
「そやから言うたやろが。小室直樹は読めって。ほんまにもう!」と文句を言ってたわけなんですがね。なんでワシの言うことは信用せんと、そういう社長の言うことなら信用すんねん!みたいな話ですが。
まぁ、ともあれ、小室先生の本は、どれもこれも一定の水準は超えていて、そのくらい素晴らしいという話なんですけど、そういう各種ある小室本の中でも、この本に関しては、やっぱりアタマひとつ抜け出ていると思うのですね。
●よみやすさ
●おもしろさ
●内容の重要度
この三つが、実にうまくマッチしたと言えると思うのです。
だから、この10年で、僕が読んだ書籍の中でベスト1であって、まずはこの本を読みなされとお勧めすることになるんですね。
昨年、うちの事務所では、5年一緒にやっていたデザイナーの女の子が、広い世間をもっと見てみたいという事で退社して出ていったんですが、本当に前向きで、よく勉強する子だったんで、次の事務所への就職祝いも兼ねて、この本をプレゼントしたんですね。
「この10年読んだ本の中で、いちばん役に立つ本やと思う。それも、そこいらの部課長クラスのビジネスマンやなくて、中小企業とかの社長さんクラスの人が読んでる本やから、小さな企業のトップとも対等に話をするのに役に立つよ。」と言って手渡したわけです。
まぁ、その後、最後まで読んだかどうかは知らないんですけどね。
ともあれ、出版から5年たって愛蔵版が出るほどの評価を受けたというのは、「ああ、この国もまだ、見捨てたものではないな。ちゃんと読書人階級というものが、正しい知性を支えるべく頑張っているし、それを伝え広めようとしているんだなぁ」というのを感じた出来事ではあったわけです。
憲法というのは、ひとつの国の文化を反映していて、それは字句だけを追いかけていてもわかるものではなくて、欧米の歴史(その歴史の中には権力者の首をはねた流血革命もあれば、100年にわたって戦争をし続けた悲しい教訓も含まれているということであり、あまり生半可な表面的知識だけで物事を見てはいけないという事なんですが。)基礎から知ることが不可欠なんですね。
そして、日本の国というのは、法体系や文化体系を欧米と中国から接ぎ木のようにその場その場で組み合わせて輸入してきただけだから「知の体系」というものがおおざっぱに捉えきれていないわけです。
でも、欧米化の波はインターネットをはじめとして、向こうのほうから勝手にやってきて、それに対して「体系」も知らないままに場当たり的に断片的知識だけで対処していると、それはどうしても「なるほど!」という納得を得られなくてイライラしたり、ストレスが溜まってしまったりするものなのです。
しかし、欧米の歴史の概略から押さえていれば、そこまでのイライラを感じる必要はない。「ああ、欧米人なら、こういう考え方をしよるよなぁ。でも日本人のワシとしては、こう考えるよなぁ、さてどのへんでバランスしたものやろか。」とゆったりと構えていられるわけです。まさに心の栄養になるんですね。
そういう意味で、この本は多くの人に読んでもらいたいと思うし、おそらく愛蔵版が出たというのも、この本のそういう側面を出版者側が自覚して、それで出したものだろうと思うのです。
このあたりの基礎知識なしに、法律の問題や、個人の責任の話や、これからの日本社会のあり方などなどは、何をどう論議をしても、それは正しい知識をふまえていない、単なる妄想でしかないんですね。だって我々は欧米人ではないのだから。
そういう意味で、この本は必読です。本当に大事だと思います。
超お勧め。
うーむ、しかし、なんでこの当たり前の「お勧め」をいままで普通に書いてこなかったのかなぁ。うーん。まぁいいや。
ま、ええもんはええんや、ごちゃごちゃ言わずに読まんかい! っちゅうことですわ。
しかし「痛快!憲法学」のユーズド版(中古・古本)が、2400円とか、6800円とかしてるのにはびっくりだなぁ。
良い本はこういう形で読み継がれるわけです。
------------------------
ふっと、このロングセラーというか、非常に評判の良い、素晴らしい書籍のことを、キチンと紹介したくなったので、書いてみたいと思います。
この本は、数年前に「痛快!憲法学」というタイトルで発売された書籍の愛蔵版で内容は全く同じ。
小室直樹さんの憲法に関する基礎知識を欧米の歴史とともに解説していて、「編集者シマジ」という無知なる対談相手を生徒役に、授業のような形式で書かれている書籍であります。
痛快!憲法学
http://www.amazon.co.jp/%E6%86%B2%E6%B3%95%E5%AD%A6-Amazing-Study-Constitution-Democracy/dp/4797670312
読みやすく、わかりやすく、日本人が学ぶべき欧米の文化と歴史を説明した上で、その文化体系の上に成り立っている「憲法」というものを、あくまで学問的立場から、過不足無く解説している書籍です。
僕はこの本を、現代ビジネスマンが通読するべき書籍のNo1として推薦したいのですね。
この10年、いろいろな本を読んで勉強してきたわけですが、その10年の中でもっとも役に立った、ベスト1を選べ、と言われたときに、この本を選ぶ事になるよなぁ、ということなんです。
こういう想いは、別に僕だけのものではなくて、アマゾンでの評価を見ても、この本、(特に元になった「痛快!憲法学」の方の評価ですが。)誰もが☆五つの最高評価をしています。
それだけの価値はある本だと言えるでしょう。
で、その「痛快!憲法学」が素晴らしかったので、この「日本人のための憲法原論」が出たときは、一瞬続編か?と思ったのですが、なんのことはない、「痛快!憲法学」が内容が素晴らしかった割に、ムック風のあざとい装丁だったので(なんせ集英社だったから、表紙は江口寿司の描く女性イラストだったし、中面には北斗の拳のケンシロウがバンバンに出ているというキワもの的装丁だったのです。)それを改めて、きちんとした普通の単行本の形に直した、というだけだったのですね。
ようするに装丁と判型が変わっただけで、内容はそのまま、という事なんですが、逆に言えば、それだけ内容が良い、という事でもあります。
小室直樹という人はアメリカに留学して、あらゆる学問を学んで日本に帰ってきて、東大の学長候補とまで言われたのだけれど、結局は学者としてこういう書籍を書いて糊口を稼ぐ在野の知識人として生きる道を選んだ人です。
まぁ、そういう長になるような権力闘争に向いてなかったんでしょうね、純粋に学者なんだな、という評価が多いようです。
しかし、在野の知識人とはいえ、この多くの人がまともに書籍を読まなくなってしまった日本の書籍界で、ずっと本を書くだけで生きてきた人ですから、その内容の深さ、確かさは折り紙付きです。
で、数ある小室本の中でも、この「痛快!憲法学」は出色の出来。最高傑作と言っても良いほどの内容なのです。
このあたりの事は、小室先生の少々ウケを狙ったあざとい表現の仕方(出版界で生きて行くには、多少のフカシも必要ですからなぁ)に批判的な人達ですら、この本に関してはナンクセをつけてないんですね。
そのくらい内容の良い本だ、という事です。
アマゾンの評価をていねいに読んでいくとわかりますが、この本に対して低い評価をしてる人というのは、相当、かなり、よっぽどの知識の持ち主なんです。
この本の内容を批判しようとしたら、そりゃもう、この本と同等の厚みのある古今東西の名著を読み調べした上でないと批判ができない。(でも、それを実際にやってる人がいてたりします。すごいね、世の中というのは。まさに上には上がいる。あ、すごくトンチンカンな評価をして☆一つとか書いてる人もいてますが、ちょっと恥ずかしいですね。下には下がいるということか。)
ともあれ、ごく普通の一般的な日本人なら、まぁそこまで深い知識は必要ないので、とりあえずこの本を読んでおけば、世界的な歴史的名著10冊分くらいの知識を、コンパクトに短時間に学べるというような本なわけです。
最初の「痛快憲法学」が出たのが2001年の4月。読んですぐに僕は「すごい!」と思ってたわけですが、世間的にどうなのかがわからない。でも、とにかくもう、本当にすごいと感心したのでありました。
そうこうしているうちに、アマゾンを見てみれば、この6年でレビューが36本ついていて、平均評価が☆5個中4.5。
ものすごい高さです。
この一冊に感激した人が、やっぱりそれだけはいた、ということですね。
読みやすくて、面白くて、それでいてタメになる。
しかも、こういう愛蔵版まで出るほどに評価が上がってきた、という事なわけです。
小室先生のご著書というと、この本以外の数多くの本は、僕が知る限りでは「中小企業の社長」というような人が、相互に教えあって「読め」「読め」とやっているというのが、一番印象的です。
中小企業の社長というのは、あまり実利のない読書というのはやってるヒマがありません。経営とか資金繰りとか、やらないといけない事が山のようにあるからです。
しかし、そういう人達の多くは、国内市場だけでなく、海外市場にも手を伸ばして、自社の展開を世界に広げなくてはならず、そう言うときに「世界の常識」を、とにかく手軽に簡単に素速く手に入れることが必要なわけですね。
で、そういう世界の常識を入手するための羅針盤として、小室先生のご著書が、とても役立つということなわけです。
法律の仕組みにせよ、学問の体系にせよ、日本国内にあるものは、その多くが海外の「真似っこ」であって、正しく真似るならまだしも、気分・雰囲気だけを真似ていて、その本質を何も学ばないまま日常を過ごしている、というのが我々一般人の姿なので、国内学問だけやっていても、ちーとも役に立たないわけです。
中小企業の社長なんかは、海外の海千山千のビジネスマンとも対等に丁々発止の交渉をすることが必要ですから、そういう場で小室先生のさまざまな著書が好んで読まれている、という事でもあるわけです。
それはつまり、小室先生が書いておられる内容が、世界の法体系であったり、文化であったりを、特段誇張することもなく、ストレートにわかりやすく、歴史や基本概念から解説していて、ウソ・間違いが少ないという事の証しでもあります。実際にそういう交渉や相互理解のために大きく大きく役立つからこそ、社長同士の間で「読め」「読んだか?」という声がかけられるわけですね。
実は、このあたりの社長たちの事情というのは、僕は知らなかったのですが、知り合いのコピーライターが一人いまして、その男に僕は、会うたびに「小室直樹はすごい。読むべきだよ」とずっと言ってたんですが、全然そいつは読まなくて、で、その男が、ある中小企業の社長ばかりが集まる勉強会に定期的に参加するようになってから、それらの社長さんから「君、小室直樹くらい読んでおかないとアカンよ。」と手渡されたという話を聞いて、はじめて知った、というような事なんですけどね。
「そやから言うたやろが。小室直樹は読めって。ほんまにもう!」と文句を言ってたわけなんですがね。なんでワシの言うことは信用せんと、そういう社長の言うことなら信用すんねん!みたいな話ですが。
まぁ、ともあれ、小室先生の本は、どれもこれも一定の水準は超えていて、そのくらい素晴らしいという話なんですけど、そういう各種ある小室本の中でも、この本に関しては、やっぱりアタマひとつ抜け出ていると思うのですね。
●よみやすさ
●おもしろさ
●内容の重要度
この三つが、実にうまくマッチしたと言えると思うのです。
だから、この10年で、僕が読んだ書籍の中でベスト1であって、まずはこの本を読みなされとお勧めすることになるんですね。
昨年、うちの事務所では、5年一緒にやっていたデザイナーの女の子が、広い世間をもっと見てみたいという事で退社して出ていったんですが、本当に前向きで、よく勉強する子だったんで、次の事務所への就職祝いも兼ねて、この本をプレゼントしたんですね。
「この10年読んだ本の中で、いちばん役に立つ本やと思う。それも、そこいらの部課長クラスのビジネスマンやなくて、中小企業とかの社長さんクラスの人が読んでる本やから、小さな企業のトップとも対等に話をするのに役に立つよ。」と言って手渡したわけです。
まぁ、その後、最後まで読んだかどうかは知らないんですけどね。
ともあれ、出版から5年たって愛蔵版が出るほどの評価を受けたというのは、「ああ、この国もまだ、見捨てたものではないな。ちゃんと読書人階級というものが、正しい知性を支えるべく頑張っているし、それを伝え広めようとしているんだなぁ」というのを感じた出来事ではあったわけです。
憲法というのは、ひとつの国の文化を反映していて、それは字句だけを追いかけていてもわかるものではなくて、欧米の歴史(その歴史の中には権力者の首をはねた流血革命もあれば、100年にわたって戦争をし続けた悲しい教訓も含まれているということであり、あまり生半可な表面的知識だけで物事を見てはいけないという事なんですが。)基礎から知ることが不可欠なんですね。
そして、日本の国というのは、法体系や文化体系を欧米と中国から接ぎ木のようにその場その場で組み合わせて輸入してきただけだから「知の体系」というものがおおざっぱに捉えきれていないわけです。
でも、欧米化の波はインターネットをはじめとして、向こうのほうから勝手にやってきて、それに対して「体系」も知らないままに場当たり的に断片的知識だけで対処していると、それはどうしても「なるほど!」という納得を得られなくてイライラしたり、ストレスが溜まってしまったりするものなのです。
しかし、欧米の歴史の概略から押さえていれば、そこまでのイライラを感じる必要はない。「ああ、欧米人なら、こういう考え方をしよるよなぁ。でも日本人のワシとしては、こう考えるよなぁ、さてどのへんでバランスしたものやろか。」とゆったりと構えていられるわけです。まさに心の栄養になるんですね。
そういう意味で、この本は多くの人に読んでもらいたいと思うし、おそらく愛蔵版が出たというのも、この本のそういう側面を出版者側が自覚して、それで出したものだろうと思うのです。
このあたりの基礎知識なしに、法律の問題や、個人の責任の話や、これからの日本社会のあり方などなどは、何をどう論議をしても、それは正しい知識をふまえていない、単なる妄想でしかないんですね。だって我々は欧米人ではないのだから。
そういう意味で、この本は必読です。本当に大事だと思います。
超お勧め。
うーむ、しかし、なんでこの当たり前の「お勧め」をいままで普通に書いてこなかったのかなぁ。うーん。まぁいいや。
ま、ええもんはええんや、ごちゃごちゃ言わずに読まんかい! っちゅうことですわ。
しかし「痛快!憲法学」のユーズド版(中古・古本)が、2400円とか、6800円とかしてるのにはびっくりだなぁ。
良い本はこういう形で読み継がれるわけです。
コメント