「嫌われないようにする」は、致命的な間違いだ。
2005年12月8日 読書
ISBN:4835615123 単行本 『夢をつかむイチロー262のメッセージ』編集委員会 ぴあ 2005/03/11 ¥1,050
しばらく前に買った本なのだけど。
これが、どういうわけか時たまパラパラと読みたくなる。
一ページに一メッセージ。イチローがインタビューを受けたときなどに発した言葉を一二行でまとめてあるだけ。
横に小さく小さく、どういう状況の時に言った言葉なのかが紹介されている。
これがねぇ。
深いのだ。
イチローという選手のメンタル面での意識が、いかに高いかというのが、本当によくわかる。
だから、時たま読み返したくなる。
いや、別に全ページを読破したわけでもないんですがね。気になった時にパラパラってやるだけ。
たとえば、
------------
「そう思わないようにする」ということなら、
「そう思ってしまっている」ということです。
------------
なんていう言葉がある。
いやー深い。
これは、あと一本で200本安打が達成されるという時に「意識しますか」と問われての言葉。
その質問に対して、ここまでの答えができるということがすごい。
イチローにとっては、記録を作るということは、やるべきことではなくて付随することでしかないということなのだ。
イチローにとって必要なことは、自分のイメージした通りに「打つ」ことであって、「記録」なんかは付随することにしかすぎない。「イメージした通りに打つこと」、それこそが、彼の最も気にしていること。成功イメージはそこにある。
「意識するとはどういうことか」ということと、「自分が平常心で良い成績を残せること」とのメンタルの部分での本質的な違いを、常に自問自答しているということが良く分かる。
すごいなぁって思う。
で、この言葉は深く考えているが故に汎用性というか、より大きな真実につながっているとも言えると思うのだ。
最近よく思うのが、「幸せになるぞ」と決めることと、「不幸にならないようにするぞ」と考えることは、似ているようでいて、全く逆だなと思うのだ。
幸せになるためには、幸せになろうとすることが大事であって、不幸にならないようにしていても、永遠に幸福にはなれないのである。
「不幸にならないでおこう」と考えるということは、ようするに「不幸」のことを考えているということなのだ。その状態は幸せになろうとすることでは決してない。
幸せになるための行動をまったくしていないなら、いくら不幸を避けていたとしても、幸せには絶対になれないのである。
これは、自分がどこかに行くことを考えて見ればよくわかる。
大阪から東京に行くときは東京を目指すのだ。「乗り換え間違いをして、名古屋に行かないようにする」と考えることは、さほど大きな意味はもたない。ましてや、「東京に行く」という目標意識なしに、「名古屋に行かないようにする」ということを考えていても、意味などまったくないのだ。
この事実に気づいている人は存外少ない。
しかし、イチローの上の言葉は、こういうことまで一気に解説してしまっている言葉なのだ。
人の意識というもののナイーブなところを、実に的確にチョイスしているなと感じる。
ちょっと話はずれるが、「不幸にならないように」というのが、「幸せになる」ための方法としてまったく見当はずれであるのと同じく、「人に嫌われないように生きる」という考えも、まったくの見当はずれなのである。
時たま「他の人に嫌われないように…」とか言う人がいてるんだけど、そういう考えはやめなさい。そうではなくて人を好きになればいいんだって思う。
好いてくれる人のことを嫌ったりはできないんだから。
(「ストーカーみたいなのに好かれたらどうする」とかはそれこそ、もともと「好き」とはどういうことかがわかってない状態なので論外。まずキチンと好きになることが基本だし、先にやるべきことなんだと思う。)
「嫌われないように」ということは結局「嫌い」と思ってるってことの直接的な意見表明なんだよなぁ。周りを嫌えば、そら嫌われる。つまり、「嫌われないようにする」から「嫌われる」のである。
で、やっぱり大切なのは、「好きになる」ということだなぁって思うのだ。
「好きになる」ということと、「嫌われないようにする」というのは、似ているように見えて、まったく逆の態度なのだってことなのですよ。
イチローの言葉は、結局、このあたりまでの事まで包含してしまってる言葉だと思う。「記録より、まず打つことだ」ってことでしょ? 嫌われないようにするヒマがあったら、キチンと人を好きにならないとダメだよな。
だから「世間の皆様に嫌われないようにする」って言う人は、ようするに「世間」が大嫌いなんだなぁってすぐに直感でわかってしまう。かわいそうだなぁ。嫌ったら嫌われるのは当たり前だよなぁ。だから苦しくなるんだ。そう思う人が、随分いる。
多分、「自分」のことも好きじゃないんだろうなって思う。自己評価が低いから、周りのことも愛せない。自分を愛するようにしか、他者を好きになったりできないよな。自分を嫌うから、どんどん苦しくなるのだって思う。
それってメンタル面で、ものすごく低いレベルになってるってことなんだけど、そこにも気づいけてないんだろう。
イチローの言葉でアメリカの小学校を訪れた時の言葉がある。
-------------------
この中で、将来なにかになりたいという人はいますか。
今日ぼくが言いたいのは目標を持ってもらいたいということです。
-------------------
これ。
なんてことない言葉のようだけど、これも子供に対して述べる言葉として、実に適切なんだよなぁ。人生を通して役立つ言葉だよ、これって。実は。
いつだって人間は、行きたい場所を決めるから、そこに行けるんだよって言ってるわけで、そこがすばらしいと思う。
幸せになるためには、幸せを目指すこと。つまりは「幸せになるぞ」と決意することが、一番重要なのであって、「不幸にならないようにする」ではないのだ。「××にならないようにする」ってのは本当にムダ。意味なし。
まず目標を決める。つまり何が成功であるのかを決める。そしてそっちへ行く。それだけでいいんだと思う。人生は。
東京へ行くためには東京へ行こうとしなくては無理。「名古屋で間違えて降りないように」とか考えても意味はない。そういうことなんですよ。
まぁ、読む側に、こういう「読み解く意志」がないと、あんまり面白くはない本かもしれないので、誰もにお勧めはしませんが。
「嫌われないように」生きてる人が読んでも、全然、ちーとも、何にも学べないでしょうなぁ。
ともあれ、イチローはやっぱりすごいと思います。うむ。
しばらく前に買った本なのだけど。
これが、どういうわけか時たまパラパラと読みたくなる。
一ページに一メッセージ。イチローがインタビューを受けたときなどに発した言葉を一二行でまとめてあるだけ。
横に小さく小さく、どういう状況の時に言った言葉なのかが紹介されている。
これがねぇ。
深いのだ。
イチローという選手のメンタル面での意識が、いかに高いかというのが、本当によくわかる。
だから、時たま読み返したくなる。
いや、別に全ページを読破したわけでもないんですがね。気になった時にパラパラってやるだけ。
たとえば、
------------
「そう思わないようにする」ということなら、
「そう思ってしまっている」ということです。
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なんていう言葉がある。
いやー深い。
これは、あと一本で200本安打が達成されるという時に「意識しますか」と問われての言葉。
その質問に対して、ここまでの答えができるということがすごい。
イチローにとっては、記録を作るということは、やるべきことではなくて付随することでしかないということなのだ。
イチローにとって必要なことは、自分のイメージした通りに「打つ」ことであって、「記録」なんかは付随することにしかすぎない。「イメージした通りに打つこと」、それこそが、彼の最も気にしていること。成功イメージはそこにある。
「意識するとはどういうことか」ということと、「自分が平常心で良い成績を残せること」とのメンタルの部分での本質的な違いを、常に自問自答しているということが良く分かる。
すごいなぁって思う。
で、この言葉は深く考えているが故に汎用性というか、より大きな真実につながっているとも言えると思うのだ。
最近よく思うのが、「幸せになるぞ」と決めることと、「不幸にならないようにするぞ」と考えることは、似ているようでいて、全く逆だなと思うのだ。
幸せになるためには、幸せになろうとすることが大事であって、不幸にならないようにしていても、永遠に幸福にはなれないのである。
「不幸にならないでおこう」と考えるということは、ようするに「不幸」のことを考えているということなのだ。その状態は幸せになろうとすることでは決してない。
幸せになるための行動をまったくしていないなら、いくら不幸を避けていたとしても、幸せには絶対になれないのである。
これは、自分がどこかに行くことを考えて見ればよくわかる。
大阪から東京に行くときは東京を目指すのだ。「乗り換え間違いをして、名古屋に行かないようにする」と考えることは、さほど大きな意味はもたない。ましてや、「東京に行く」という目標意識なしに、「名古屋に行かないようにする」ということを考えていても、意味などまったくないのだ。
この事実に気づいている人は存外少ない。
しかし、イチローの上の言葉は、こういうことまで一気に解説してしまっている言葉なのだ。
人の意識というもののナイーブなところを、実に的確にチョイスしているなと感じる。
ちょっと話はずれるが、「不幸にならないように」というのが、「幸せになる」ための方法としてまったく見当はずれであるのと同じく、「人に嫌われないように生きる」という考えも、まったくの見当はずれなのである。
時たま「他の人に嫌われないように…」とか言う人がいてるんだけど、そういう考えはやめなさい。そうではなくて人を好きになればいいんだって思う。
好いてくれる人のことを嫌ったりはできないんだから。
(「ストーカーみたいなのに好かれたらどうする」とかはそれこそ、もともと「好き」とはどういうことかがわかってない状態なので論外。まずキチンと好きになることが基本だし、先にやるべきことなんだと思う。)
「嫌われないように」ということは結局「嫌い」と思ってるってことの直接的な意見表明なんだよなぁ。周りを嫌えば、そら嫌われる。つまり、「嫌われないようにする」から「嫌われる」のである。
で、やっぱり大切なのは、「好きになる」ということだなぁって思うのだ。
「好きになる」ということと、「嫌われないようにする」というのは、似ているように見えて、まったく逆の態度なのだってことなのですよ。
イチローの言葉は、結局、このあたりまでの事まで包含してしまってる言葉だと思う。「記録より、まず打つことだ」ってことでしょ? 嫌われないようにするヒマがあったら、キチンと人を好きにならないとダメだよな。
だから「世間の皆様に嫌われないようにする」って言う人は、ようするに「世間」が大嫌いなんだなぁってすぐに直感でわかってしまう。かわいそうだなぁ。嫌ったら嫌われるのは当たり前だよなぁ。だから苦しくなるんだ。そう思う人が、随分いる。
多分、「自分」のことも好きじゃないんだろうなって思う。自己評価が低いから、周りのことも愛せない。自分を愛するようにしか、他者を好きになったりできないよな。自分を嫌うから、どんどん苦しくなるのだって思う。
それってメンタル面で、ものすごく低いレベルになってるってことなんだけど、そこにも気づいけてないんだろう。
イチローの言葉でアメリカの小学校を訪れた時の言葉がある。
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この中で、将来なにかになりたいという人はいますか。
今日ぼくが言いたいのは目標を持ってもらいたいということです。
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これ。
なんてことない言葉のようだけど、これも子供に対して述べる言葉として、実に適切なんだよなぁ。人生を通して役立つ言葉だよ、これって。実は。
いつだって人間は、行きたい場所を決めるから、そこに行けるんだよって言ってるわけで、そこがすばらしいと思う。
幸せになるためには、幸せを目指すこと。つまりは「幸せになるぞ」と決意することが、一番重要なのであって、「不幸にならないようにする」ではないのだ。「××にならないようにする」ってのは本当にムダ。意味なし。
まず目標を決める。つまり何が成功であるのかを決める。そしてそっちへ行く。それだけでいいんだと思う。人生は。
東京へ行くためには東京へ行こうとしなくては無理。「名古屋で間違えて降りないように」とか考えても意味はない。そういうことなんですよ。
まぁ、読む側に、こういう「読み解く意志」がないと、あんまり面白くはない本かもしれないので、誰もにお勧めはしませんが。
「嫌われないように」生きてる人が読んでも、全然、ちーとも、何にも学べないでしょうなぁ。
ともあれ、イチローはやっぱりすごいと思います。うむ。
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